
この絵はかなり昔から僕のお気に入りで、いわゆる
「死後のコレクション」の中から再発見しました。
ここでは自分の蔵書からスキャンしたものをご紹介していますが、Google などで「春日田春夫」と検索すると、もっとキレイな
コレがヒットします。
「昼はOL、夜は女王様、アッ、君は秘書のS子さん」 というキャプションが、
泣ける(>_<) いや、今となっては、笑えるのか? (^^)
絵師である春日田本人のものとも思えないのですが、どうなんでしょう?
今さら、何をトボケタこと言ってんだヨ!... てな感じですが、仕事帰りにこっそりSMクラブに逝ったら、職場のOLがバイトで女王様をやっていた〜!なんていう妄想(あるいは現実?)は、確かにあったであろうし、萌える。
春川ナミオ原作・監督の
「復讐の美尻」が、まさにそんなストーリーだった。
昭和の古き良き時代のSMっぽい感覚が、郷愁をそそると同時に、微笑ましくもある。
かつて春川さんも投稿していた
奇クのイメージ・ギャラリーは、悪く言えば洗練されてはいない画風や趣向もあったりして、玉石混淆でしたが、実に様々な妄想が鮮やかに、あるいはドロドロと描かれる異色の場でありました。
(*「読者ギャラリー」とか「ナミオM画廊」という名称もありました)
たとえ自分の好みのタイプでなかったとしても、僕は好きでした(見るだけなら)
春日田のこの絵は、緊縛に興味がなくても、胡座縛りの惨めさが強調される構図が見事だとわかります。
中年の醜いオジさんが見上げる女王様の脚のラインがなんとも美しい。
多くの場合、自分の秘めたる願望を表象する何かを模索するわけだけれども、必ずしも「このようにされたい」というあからさまなイメージばかりでもない。

こんなコト、実際にはされたくないんだけど、何故か胸騒ぎがする... (>_<)
そこのところのピントはぼやけている。
まだネットもSNSのない時代、自分の特殊な性癖や願望をどう処理してよいのかワカラナイ変態予備軍は、何らかの救済を求めて、奇譚クラブのようなメディアに耽溺していた。
そもそも、自分のこの不可思議な性癖ってナニ?みたいな立ち位置で苦悩していた。
よくワカラナイんだけど、何かこの絵には、自分の理想に近いものがある。
そういう気持ちで作品に寄り添うと、もしかしたら、かすっている部分があるかもしれないと思えてくる。

うん、コレならオッケー(^^)
本来、誰にも「共有」されたくもなさそう(ゴメンネ)なのですが、それまで見たこともないような、思わず惹き込まれてしまう「お宝画像」によって「開眼」したマニアックなファンも多かったのではないでしょうか?
SMバーやSMクラブもポツポツ登場し始めていた頃でもありましたが、秘密を共有しあえる成熟した共同社会的なネットワークは、まだ成立していない。
奇クのようなメディアのお陰で、マゾとしての個の意識に目覚めながらも、閉鎖的な孤絶の世界に閉じこもる。
そういう、様々な人々が一期一会的に見えない絆で繋がっていたという幻想を感じられた時代を象徴するのが、奇クのイメージ・ギャラリーだった。
技術的にはプロでないにしても、真剣なマニアによる魂のこもったコンテンツが、奇クのイメージ・ギャラリーの醍醐味だったように思います。
まあ、とにかく、ざっくばらんに言うと、世の中には、本当にいろんな人がいるんだなぁ〜と、感心したものです。
その「いろんな人」の中に、自分も含まれていたとは気づかない、のんきで、それこそすっトボケタ変態だったのが僕なワケで・・・
当時は若かったこともあり、自分はヘンタイじゃないと信じていた (。。)☆\バキ
いや、信じていたかったのかもしれない(今もだが・・・)
ただ、少なからず、僕と同じ趣向のヘンタイさんが、実際に存在しているんだなあという、驚きとも安堵ともしれない共感を得たのも確かでした。
昔はわからなかったけれど、みんなのツールやイメーが異なるだけで、心は同じなんだろうな、と今は思える。
みんなちがって、みんなイイ。
今なら、この春日田の絵に、「いいネ」ボタンがどれだけ押されるだろうか...
ちょっと試してみたくなりました。
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