
僕は子どもの頃からマゾ気質を自覚してはいましたが、それがいったいなんであるのかを明確に理解したのは
奨学生の時に奇譚クラブを拾って読んだ時です。
(↑「明確に」というほどきちんとわかったわけではなかったかもしれませんが)
そして十代頃から様々なSM雑誌を読みあさるようになり、いわゆるSMクラブなるものの存在を知ります。当時(1970年代)はまだ秘密クラブ的な趣で、今みたいにきちんとした営業をしていそうなところはありませんでした。黎明期のSMクラブは、おそらく商業的に成り立っておらず、したがって個人の趣味的なレベルで活動していたのでしょう。
いずれにしても子どもが行けるはずもなく、いつか大人になったら行ってみたいな~と、自分の中で妄想を膨らませて青春時代を過ごしてきたわけです。わけがわからなかったモヤモヤした願望を実現できる場所があるということを知ってウレシかった。
東京の大学に進学した頃にはSMもややポピュラーになっていました。しかし、年齢的に行けるようになったからといってすぐに行くほど心の準備が出来ていません。お金はあっても、なにぶんウブな田舎者ですから、いざとなると勇気が出てこない。結局初めてSMクラブの門を叩いたのは大学4年の時です。自分の誕生日に行きました。
六本木の高架下の電話ボックスからおそるおそるダイヤルした指が震えていたのを今でも覚えています。行くと決心しただけで心臓の動悸も激しくなり、めまいで倒れそうなくらい興奮(下半身のほうでなくて)していました。何をどう言って、どのような会話で予約が完了したのかも全く覚えていません。
プレイ的には、何がなんだかワケがわからないうちに、あっという間に逝ってしまったようでした。何か悪いことしてしまったような、後味の悪さが残る、ちょっと情けない初体験。それでも長年夢みていた妄想のいくつかは実現されました。ほとんどビョー的に憧れていた「お馬さんごっこ」と「顔面騎乗」を、当時の女王様は優しくしてくれたのです。何とも夢のような不思議な体験...
この時の、性的な興奮とは異なるエキサイティングな気持ちが忘れられません。それまでは内なる精神世界だけで描いていたマゾヒズムの願望を、演劇的とはいえ現実に体験することが出来た喜びはひとしおです。セッションの内容的な満足度よりも、何かを成し遂げたという充実感のほうが大きかった。
なんだか偉そうに聞こえるかもしれませんが、本当に未知なる世界に踏み出したという感激の方が凄く印象に残っています。何しろ十年以上も思い憧れていた世界でしたから。もちろんSM的な感動もあったのでしょうが、そちらのほうはよく覚えていないし、いわゆるSM的には失敗に終わっていたような気がしています。
たかがSMクラブにいったぐらいで、バカだよね、自分(>_<)
でも、いい思い出として記憶に残すことができてラッキーであったと思う。
この時お相手して下さった女王様には今でも感謝しています。


■ ある想い出
■ SMサロンに初めて行ってみる
■ 解禁モモカ!
春川ナミオ氏と

憧れの巨匠とご対面した時のエピソード!