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マゾヒズムに花束を!

恥ずかしくて、ためになる情報発信 Female Domination & BDSM

毛皮を着たヴィーナス 

毛皮を着たヴィーナス


河出書房新社


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 古今東西の名作は何度読んでもその都度新しい発見があるが、この作品もやはり奥が深い。

 初めて読んだのは十代の後半の頃。それまでぼんやりとしていた「マゾヒズム」という言葉が。明確に意識され初めた頃でもあり、なんだか猛烈に勉強してみたくなって、運命と言おうか必然と言おうか、この作品にたどり着いた。

 谷崎の「痴人の愛」は中学の時に偶然読んでいたがこの「毛皮を着たヴィーナス」は

  気合いを入れて 読んだのを覚えている。

 もうそれ以来座右の書として僕の本棚に君臨し続けている。

 普通の文学としても優れた作品。しかしそういう意味ではマイナーになってしまうのだろうか。今時の恋愛小説にしてはインパクトに欠けるだろうし、SM文学として見ても素朴な部類に入る。だけど、マゾヒズムに少しでも関心がある人であれば、自分なりの作品世界を豊かにイメージして楽しめる。
 
 SM的なコミュニケーション・ツールとしての愛読書にふさわしい。

 やはりときめいてしまうのは、主人公の二人、ワンダとセヴェーリンが取り交わす奴隷契約書の部分。SMの世界においては、奴隷と主人のような疑似的関係をファンタジックに想定するプレイがよく行われる。そこには明文化されていない「奴隷契約」のようなものが存在する。また、プレイの重要なアイテムとしてきちんと明文化したものを作成し、署名・捺印したりするカップルも存在する。

 最近主催者が交代したSMサークル「甘美会」のサイトでその実例がいくつか紹介されている。それらのテンプレートはこの古典的名作の中に見いだすことができる。直接ではないにしても、現代にも継承されているコンセプトの萌芽がここにあった。

 普通の書店にたいがいおいてあるはずだが、今発売されている表紙にはナゼか金子國義のカバーが採用されていないのが残念...


 *Sardaxがこの作品の挿し絵を習作的にWebで公開している。

毛皮を来たヴィーナス_Sardax

有名な奴隷契約を交わすシーン。

 壁にある絵は「サムソンとデリラ」のワンシーンと思われる。

毛皮を来たヴィーナス_Sardax




現在入手できる文庫本

毛皮を着たヴィーナス (河出文庫)毛皮を着たヴィーナス (河出文庫)
(2004/06/04)
L・ザッヘル=マゾッホ

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[ 2009/04/29 13:54 ] マゾの本棚 | トラックバック(-) | CM(6)

江戸川乱歩の「陰獣」 

 今年はじめにブログを引っ越したさい、過去のエントリーが随分と移行されないまま残ってしまっています。新しいカテゴリー「過去記事リバイバル」ではそういう過去記事を再度復活させていきます。



 「崖の上のポニョ」
の話題で盛り上がっているヴェネチア国際映画祭。コンペティション部門に出品されていた「インジュ(Inju)」というタイトルが目を引いた。
 
 これは江戸川乱歩の「陰獣」を現代風にリメイクしたような作品で、監督はフランス人。かつて松竹でも映画化され、SMをモチーフにした乱歩の傑作である。サスペンスとしても秀逸で、まだSMという概念が人々に馴染みのない時代に、トッピングとしてのSMの味つけがまた素晴らしかった作品。

 キャストの日本人俳優石橋凌は、SMクラブの女王様から演技指導を受けたのだという。なるほど、微妙に変化していくSとMの人間関係の綾を表現するのに苦労しそうな作品ではある。演技のリアリティのためにわざわざSMクラブに行くとは見上げたプロ意識とは思うが、「個人的にそういう趣味はないです」だとぉ~??

 ホントか? 

 少しはSMに興味があるからこれ幸いと足を運んで楽しい思いもしたんじゃないのか? 

 もっと自分に素直になれよ石橋~! 赤裸裸にSMを語るイチロー選手を見習ってほしいものである。

 ま、それはいいや。とにかく昭和初期に発表された耽美的な日本文学が、ヌーヴェル・バーグのおフランスでどのように作品化されたのか興味がつきない。

 日本文化オタクのヘンタイ映画監督ヴィム・ヴェンダースが審査委員長なだけに、賞取りレースに絡んでくる可能性も大きく、「ポニョ」以上に日本人としては注目作品と言えるだろう。


【関連記事】

江戸川乱歩の小説を基にした映画『Inju』が登場/ヴェネチア映画祭

石橋凌:仏映画「INJU」に出演

映画に初主演した源利華の“INJU”での存在感にヴェネチア沸く

バラエティ・ジャパン 第65回 ヴェネチア映画祭

「Inju」レッド・カーペット




 これは松竹作品
   ↓





[ 2009/04/29 00:52 ] 過去記事リバイバル | トラックバック(-) | CM(4)


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筆者に宿る仮想人格:homer



 自分に素直になりたい!そう願っているひねくれ者なのかもしれません。平凡で小市民的な暮らしを営む一方で、過激な妄想世界を漂う、無意識過剰の仮性マゾ。



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