先日のちょっとした集まりに新社会人がいたので、就職祝いにと買ってあげた本です。
別に隠していたわけではありませんが、よく僕は人に本をプレゼントします。
最近読んで面白かった本や長年の愛読書など、お祝いごとにはたいてい書籍を贈る。
例え読まれなくても、僕があげなければおそらく買いも読みもしなかったかもしれない本が相手の手元にあるということは、それなりに意義はあるでしょう。まぁ自己満足かもしれませんが、どっちみち好意でやっていることなのだから、文句を言われる筋合いはない。
毎年この季節になると進学や就職祝いなどで贈る機会が多いのですが、日常的にもっと気軽に感謝や好意の気持ちをアピールできるのが文庫や新書です。
そんな貧乏くさいもの贈り物に如何なものかと思われる方もいるかもですが、この程度の金額だと受け取る方もそれほど心の負担にならないし、こちらも気が楽でおすすめです。
高くてぶ厚い単行本だと「読まなきゃ」というプレッシャーを相手に与えてしまう。新入生や新社会人ならそれでもいいけれど、誰かにさりげなくこちらの好意を伝えたい時は、お持ち帰りに邪魔にならない文庫や新書はけっこう喜ばれるのです。別に読まれなくてもたいして気にならないしね。
僕の定番は「星の王子さま」と「毛皮を着たヴィーナス」
実はこの2冊には不思議な共通点がある。
どちらも知る人ぞ知る有名な本なのに、意外やきちんと読んだことのある人が少ない。特に「星の王子さま」は世界的なベストセラーにしては、僕の知り合いで内容について深い会話のできる人はほとんどいませんでした。
そういうこともあって、これまでに身近な友人知人には何十冊贈ってきたことか。最近は何種類も違う翻訳で出版されているので、誰にどういう訳で贈るかという楽しみ(悩み?)が増えました。
初めてお世話になるSMクラブの女王様には「毛皮を...」を手みやげにしていました。こちらのほうもタイトルは知ってはいても、「読んだことない」というプロ女王様が多い。(まぁ、普通はM男が読む文学ではある)
それでもこういうお仕事をしているからには「いつか読んでみたかった」と喜ばれたものです。初対面の気まずいムードが、これで和らぐこともある。
当然のことながら、中には既読の女王様もいらっしゃいました。
僕の知り合いが「星」を読んでいる確率よりも、プロ女王様が「毛皮」を読んでいる確率のほうがずっと高かった。
すでに読んでいても、あるいは本を所有していてもせっく買ってきてくれたのだから、ありがたく頂きます、みたいな感じで気持ちよく受け取ってくれます。必要なければ新人のミストレスにあげてもいし、アマゾンやヤフオクに出品するもよし。目の前でゴミ箱に捨てちゃってもかまわない。
心のこもったプレゼントをないがしろにされて喜ぶマゾヒズムもありだったりして。
まぁ、たかが文庫本です。600円程度でそういうスリルが味わえるのなら安いもの。
それに、「この種の本をプレゼントする行為」自体に萌え~でもあるわけです。
もちろん、せっかく贈る本だから、ぜひ読んでもらいたいとは思っている。
そこは本心だし、作品が気に入ってもらえればもっと嬉しい。
もう読んでいるのだったら話は早いわけで、ゼヴェーリンのように踏みつけられたり、足にキスしたいとかなんとか言えたりする。
実際の話、誰かに自分の愛読書をプレゼントするというのは、その本の内容が好きだということのカミングアウトに他ならず、ものによってはとてもハズカシい行為とも言えます。
「星の王子さま」もそうですが、このように個人的に思い入れの深い愛読書を贈るからには、それなりに相手との距離感を意識せざるをえません。
これから濃密な空間を共有するお相手と、少しでも intimate な関係に近づいておきたい。
そんな気持ちから、「毛皮を着たヴィーナス」をプレゼントしています。
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・・・・ m(_ _)m
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