アルベルト・マングェルによれば、美術作品のイメージは
「知覚の隙間に存在する」という。

その隙間とは...
画家が想像したものと、画家が実際に描いたものとのあいだ
私たちが名づけるものと、画家の同時代人が名づけたもののあいだ 記憶と新たな発見とのあいだ、既成概念と個人的主観とのあいだ...etc....
美術批評家たちによる芸術作品の誤読はつまり、多種多様な解釈という広大かつ無人の深淵とマングェルは表現している。
僕はこの隙間に、鑑賞する人の空想力の差を付け加えたい。
子どもの頃から空想好きだった僕は、たわいもないことからSFちっくに大げさなこと(地球が滅亡して自分だけが生き残るとか)など、SMに限らず、いろいろな妄想癖がありました。
そういう僕の嗜好が幻想文学や幻想美術への関心を引き寄せたのはごく自然なことだったと思います。
ごくノーマルな(?)幻想と、いわゆる性的に屈折/倒錯した妄想との境界線を特に意識したことはありませんが、現実と空想の隙間を埋めるためのイメージを追い求めていたという意味では、同じようなものとも言えるかもしれません。
SMは性癖に結びついているので独特のウシロメタさが漂いますが、幻想的な芸術への興味はノーマルな友人たちと共有できる分野ではありました。
さて、練馬区にお住まいの?ある読者の方から素敵な展覧会情報を教えて頂きました。
グランヴィル-19世紀フランス幻想版画展
僕が
グランヴィルの絵を初めてみたのはクイーンのアルバムジャケットでした。
その後、荒俣 宏の著書の中で見かけたこともあり気になってはいたのですが、なんとなくフランスの風刺画家ということ以外はあまり詳しいことは知らなかったのです。
日本の
鳥獣戯画 を思わせるその独特の画風にはずっと魅せられていました。日本での知名度はよくわかりませんが、荒俣宏が熱狂的に紹介していたぐらいのものですから、マニアックであることは疑いない ^^ ...
しかも
鹿島茂 もコレクターだったとは知りませんでした。
この人の名前どこかで聞いたことあるな思っていたら、2年ぐらい前に僕はこんな本を読んでいた。
特に「SMの人」というわけでもないのでしょうけど、名の知れたフランス文学者だけに澁澤龍彦なみの変態性を持っているのかもしれません。
荒俣宏と鹿島茂いち押しのコレクション・ギャラリーともなれば、興味津々であります。
情報をお寄せ頂いた鍵コメのレギュラー様、どうもありがとうございました。
鹿島茂コレクション1 グランヴィル-19世紀フランス幻想版画展【と き】 平成23年 2月23日(水曜)~4月3日(日曜)
【ところ】 練馬区立美術館(練馬区貫井1丁目36番16号)
【休館日】 月曜日、ただし3月21日(月曜祝日)は開館、22日(火曜)は休館
【時 間】 10時から18時(入館は17時30分まで)
【観覧料】 一般500円 高・大学生、65歳から74歳300円 中学生以下および75歳以上無料
主催 練馬区立美術館、読売新聞社
後援 フランス大使館

ちなみにこちらはクイーンのバイシクル・レース。懐かしい~

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