今年の夏、スティーブ・ジョブズが死の床に伏していた時、最先端の医療チームが集まって今後の治療方針に関するミーティングを開いていました。
そこにはジョブズも同席していたのですが、ある医者がこともあろうにパワーポイント(マイクロソフトのプレゼンテーション用アプリケーション)で説明した。
ガリガリに痩せ衰え、息も絶え絶えのジョブズは、
Keynote (Appleが開発したプレゼン用アプリ)を使えと立腹したエピソードが、ウォルター・アイザックソンの
「スティーブ・ジョブズ II 」の後半で紹介されていました。
その医者にジョブズは「使い方を教えてやろうか?」とまで迫ったらしい。
ジョブズの完璧主義やこだわりの凄まじさには圧倒されます。
確実にまもなく死ぬかもしれないとわかっていてもこのスタイルを変えようとしない彼の姿は、涙なくして読めない雰囲気もあったのですが、このエピソードにはうっかり微笑ましいと思ってしまいました。
パワポもKeynoteも使ったことのある立場から客観的にみて、好みの問題を差し引いてもKeynoteのほうが断然使いやすい。
人のプレゼンを見る時でも、パワーポイントで作成されたぎこちないスライドなんて見たくないので、ジョブズの気持ちはよくわかるのです。
プレゼンに凝った表現は必要なく、シンプルにすべきという意見もあるでしょう。
それはその通りで実際のところ、プレゼンの本質は結果であり、使われたアプリやエフェクトの問題ではない。
つい凝った表現にとらわれてしまい、本当にアピールしたい内容が効果的に表現されているのかどうかわからなくなってしまうことはありがちです。
しかしながら、芸術的に美しい表現が結果を左右する可能性も大きいのです。
Keynote は機能面で言うとパワーポイントほど多くありませんが、必要最小限なものだけに厳選されていて、ルック&フィールはより直感的でわかりやすい。
Keynoteにある優雅な3Dエフェクトやトランジションのなめらかな動きはパワーポイントにはなく、使い勝手も含めて素晴らしいプレゼンテーションソフトだと断言できる。
科学技術と芸術の交差点に立ちながら未来のビジョンを常に見つめてきたジョブズだからこそ、開発に工夫され、登場したソフトウエアです。
プレゼンを作成する人の感性やクリエイティビティを刺激し、シンプルでわかりやすい上に、人びとを感動させるプレゼンテーションを作成できるのは Keynote だけです。
ジョブズの治療に関するプレゼンでも、Keynote が使用されていれば彼の機嫌もよくなり、余命も少しは伸びていたかもしれません。

Keynoteの書き出し機能を使って作成したスライドショーをムービーに変換してみました。
↓
M男的台詞付画像ムービー

