
この本を読んでいると、自分などワリあいとまともなほうじゃないかなと思えて、僕はそれが妙に「可笑し」かった。
それは僕が(ここに登場する強者達のレベルにはおよびもしませんが)おそらく同じフィールド周辺に立っている、似たようなヘンタイのお仲間だからなのかもしれないけれど、人類皆ヘンタイの観点から、ノーマル、アブノーマル問わず全ての人にオススメしたい一冊。
コダワリの深さに違いはあれど、ヘンタイに序列や優劣の差はなく、あるのは世間の冷たい目。
この種のムック本は昔から時々出版されていて、中にはヘンタイを小馬鹿にしたような上から目線が神経に触るものもありましたが、この本ではそういうイヤラシサは感じられない。
コメンテーターとして
元女王様ライターの早川舞さん が登場しており、彼女が編集のブレーンとして関わっているからなのでしょうか、心地よく読めました。
だからといって、内容を「よく理解できた」というわけではないのだけれど。
フェチの世界というのは、実に奥が深いのだということを再認識させてくれます。
人間の性癖や特殊なコダワリというのは、その人の本質を覗くためのフィルターみたいなものだと思う。
ある種の典型的なフェチ(足フェチなど)は、共有プラグインのように他の人にも適合することもあるだろうけれど、基本的にはその人独自のものなので、カスタマイズはできない。
つまり他人には理解不能な世界で、もともと理解を求めるスジアイのものでもなかろう。
理解を得るためではなく、意味不明でもいかんともしがたいので、行動に出てしまう。
それが犯罪となってしまうのか、フーゾクで解決できるのか、人によって微妙だしグレーゾーンも広い。
ただ、人様にご迷惑さえかけなければ、誰がどんなに不思議なコダワリを持っていようが自由。
不幸にして犯罪になってしまい、メディアに露呈してしまったヘンタイ行為の記録がここにある。
そうでもしなければ、知られざる謎の性癖で終わっていたかもしれない貴重なドキュメタリーとしても興味深く読めます。
上から目線で面白オカシク構成されているようでいて、ヘンタイ達へのリスペクトもしなやかに歌われる。
人によってはキモいと感じられそうなキワドさも、
タナカカツキのユルめのイラストが、いい味でバリアフリーに貢献している。

真に理解しがたいのは人間そのものだ。個性である。
たとえわからなくても、相手を認めて敬意を持つことが大切だと思う。
フェティシズムはコミュニケーション・ツールの一つとして考えてもいい。
意気投合できるわかりやすい相手ではなく、意味不明な行動の心の闇の奥にある、その見えにくい何かを解き明かすのに有効なフィルターの数々が、この図鑑には収集されている。

舞さんの「愛のお叱り」が心にしみるネ(>_<)早川舞さんのブログ→「早川ブログ」