
東京都知事選をよそ目に、新宿某所ではSM界のビッグイベントが行われていた。
先日も書きましたけれども、ユリイカをよくご存知ない向きにあらためてご紹介しますと、いわゆるSMバー的なお店としては後発で、今からちょうど十年前の2004年2月、池袋にオープンしたフェティッシュサロンです。
その母体となったSMサークルや開店当初の動きにこそ怪しげな雰囲気が漂っていたものの、まっとうなお店で、
M男的顧客満足度の高い、魅力的なお店として注目されるようになります。
このタイプとしては比較的ユルめというか、当時の老舗同業店やSM関係者からは
「ド素人がやっているケシカラン店」 などといった冷たい視線で見られていた時期もあったようです。
しかし客層には優良で濃いドマゾが多く、
「日本三大M男」などの超人達人的マゾヒストが常連のスゴい店です。
当初、僕はナカナカ行く勇気が出ず、しばらくは店のホームページなどを傍観しつつ様子をうかがっていたのでした。
十年前、つまりこのブログを始めた頃の僕は内気でシャイな仮性マゾだった(今もだけど)

お客に「カミングアウト」させる(無理強いはしない)という、当時としては新しいコンセプトで接客してくれる女王様(イカ嬢=ユリイカのミストレスという意味)たちによる
誠実なおもてなしは、僕のように「恥ずかしがり屋さん」的なM男には向いていると思う。
初めてのお客さんでも安心して遊べます、 ・・・ って僕が言うこっちゃないか (。。)☆\バキ 
一方で、店内には本格的な吊りの設備とかもきちんとあり、「吊って下さい」とお願いすれば、もしかしたら吊ってくれるかもしれないし、くれないかもしれない。
そんなコトは場のムードやイカ嬢次第、お客さんとの距離感しだいですから、お店としての属性に意味はないと思います。
その
「ユリイカ10周年 After Party & 鏡ゆみこ聖誕祭」に行ってきました。
新宿のクラブ(SMクラブではなく、昔風に言えば
デスコ みたいなとこ)を貸し切りにして、大雪後の混沌にもかかわらず百人近いお客さんが集まりました。
これはかなりクオリティの高い、感動的なイベントとなりました。

先立って開催された通常の周年祭に訪れたお客さんにのみチケット購入が許されるという、ややクローズなイベントです。
この「あえてクローズ」なところがおそらく画期的で、そこにいる人々は先週の周年祭に訪れていた常連さん達だけなので、心がオープンになれる。
個人的には見ず知らずでも自然と和めるアットホーム感が心地よい。
すでに卒業した、かつてのイカ嬢たちも同窓会的に駆けつけ、伝説のアイドル女王様・夕樹七瀬の
きら〜ん☆ライブには大爆笑。彼女は独特の女王様フェロモンをまき散らしながら、お祝いにこしらえたのであろう「吉本興行ネタ」で会場を沸かせる。随分以前から好きだったけど、惚れなおすと同時に、憧れの女王様的イメージが音を立てて崩れてしまったけれど・・・

お店の周年祭というと、身内の仕切りで流れがチグハグになってもそこはご愛嬌となるんだけど、ユリイカのこれは違った。9周年で編集された丼本のイベント版といった感じで、素人には真似のできないザ・プロフェッショナルな作りで本当に凄い。
舞台裏のオペレーションを担当していたスタッフの采配も、目立たないところで光ります。
DJの選曲もよかったし。
何と言っても、イカ嬢たちの歌やダンスがどれもこれも本格的で、これにも驚いてしまった。
前半に登場した
和ルイ子さんの歌は、声楽の基礎をしっかりと押さえた重みのあるオペラでマイクなしでも迫力満点。元イカ嬢・エイミーさんが奏でるピアノの調べにのせた素晴らしい歌声には圧倒されました。
意味不明の沢田研二も懐かしく、ベリーダンスやトリを打ったゆまさんのコンテンポラリーダンスもお見事。
後半にご登場の
朝霧リエさん。 彼女はもちろん旧イカ嬢ではありませんが、まるで現役のフレッシュ女王様のごとく、キャピキャピ(←死語?)したノリではしゃぎまわる。
この人はもともと無邪気で子供っぽいキャラではあるけれど、全く年齢を感じさせない。
久々に往年のカリスマ女王様が本格的鞭打ちショーを見せてくれるのか?と期待度100パーセントだったんだけど、ひょうきんなお笑いネタでがっかり(>_<)

会場にいたM男たちを次から次へとステージに上げて、ゆみこさんと両サイドからビンタするという(暖かい?)企画で面白かった。
僕は、個人的にユリイカの十年を振り返るショート・ムービーを編集して贈呈しました。お店のサイトに掲載されている
写メダイアリーの古い画像からピックアップしたスライドショー。
最初はユーミンの「あの日に帰りたい」をBGMにして名曲アルバム風にしようと思ったのですが、構成していて自分勝手にしんみりしてしまい、「これはお祝い向きでない」と路線を変更。
笑いを取りにいくネタを思いつき、映画「タクシードライバー」のワンシーンをカスタマイズし、「イージーライダー」の「ワイルドでいこう」の音楽を使って、ノーテンキな映像に仕上げてみました。映画大好きのゆみこさんにはウケると思ったんだけど、来場者にはどうだったかな?

しんみりバージョンは、ユリイカ初期の歴史をよく知る古い会員さんが作っていたのでちょうどよかった。
このムービーはイベントの冒頭で上映されて好評だったらしく、後半で再び朝霧さんのMCにより紹介されたので、感無量でした(>_<)

いよいよクライマックスに近づいた後半、日本三大M男たち(の一人、馬之介さんは突発的事情でドタキャン)がステージに呼ばれる。
日本SM界の黎明期からの生き証人、がっちゃん氏と巨泉さんのお2人の年齢はもう80歳近い。
その巨泉さんの祝辞の言葉がまた心に染みた。
ユリイカ十周年のお祝いを述べた後、こんな言い方で締めくくったと思う。
「私はもう高齢で、まもなくお迎えが来くるわけですが、ご来場の若いM男性の皆さん、 どうかいいM男になって下さい。
いいM男がいないと、いい女王様が育たないのです。
いい女王様が育たないと、私は安心して死ねません」 確か、このような趣旨のことをおっしゃっていました。

僕もすでにいい年したオッサンなのだが、巨泉さんよりは20歳以上若いわけで、今さらながら、いいM男になりたいものだと心に決めたのでした。
ユリイカのようなお店で「M男度」を磨くことにより、いいM男になれるはずです。
その証拠に、実際ユリイカにはいいM男が集まり、いい女王様が育っている。
だからといって、僕がいい女王様を育てられるとは思っていないですが(オコガマシい)
せめて、いい女王様と、いつの日にか出会うことが叶えばと...(>_<)
だからまた、ユリイカに行こう。

蘭花さんを筆頭とするスタッフの皆様、お手伝いのM男諸氏、ゲストならびに関係者の皆さん、お疲れ様でした。
感動的な十周年イベントでのひと時を過ごすことができ、感謝しています。
ありがとうございました!




【関連エントリー】
■ SMサロンに初めて行ってみる
僕が初めてユリイカへお邪魔した時のエピソード
■ ラシオラのSM 朝霧リエの思想と美学
■ 粋な会話をしたい この時はゆみこさんは不在で、七瀬さん、桃香さんと初めてお会いした
■Go ゴー!池袋 丼本ゲット 
昨年のユリイカ9周年祭関係記事