
恥の多い生涯を歩んできました。
SMクラブの女王様が店をお辞めになるタイミングは、人それぞれだと思われますが、事前に告知されることは滅多にありません。
女王様の
「生前退位」は、マゾヒストにとって実に悩ましい。
わかりきっていることとはいえ、それが一代限りであり、崇拝の対象となるべき地位が継承されないのです。
元バロックの麻倉雅さんや、ピンクリの瀬里奈さんのように、退位された後でも、別のステージで活躍するレアなケースもあるにはあった。
しかし従来は、いつの間にかいなくなっていて、後から、結婚やら出産といった個人的事情から退店したことを風のたよりに知る程度。
「いつまでも、いると思うな女王様」 とも言われるように、マゾとしては常に女王様の突然の退位を覚悟しておかなければなりません。
ネットやSNSの発達した最近の傾向としては、プレイがリピーターだけに限定され、新規予約が受付されなくなり、まもなく退位されることを予感させるアナウンスをしてくれる親切な女王様もいます。
最後のプレイを惜しむ熱烈なる崇拝者の気持を尊重されているのでしょう。
このようにして、いつか来るべき「お別れの時」に備えていれば、マゾは次世代の新人のチェックや、前から気になっていた別の女王様へと崇拝の対象を切り替える心の準備が可能となる。
(。。)☆\バキ 現代は幸福のかたちが見えにくい時代なのかもしれません。

幸せそうに見える、他の人々の情報の氾濫によって、つい自分と他人を比べてしまう。
もっと不幸な多くの人々がいることを知るべきでしょう。
小さな願望でも、それが満たされないと自分は不幸だと思ってしまいがちな世の中。
仏教の言葉に
「無常」というのがあります。
様々な意味がありますが、人の世は常ならずという解釈が僕は好きです。
象徴としての女王様の存在は、マゾの日常生活の基盤であり、非日常への架け橋として必要不可欠な要素。
多くのマゾヒストは、現実の人間関係としての奴隷契約や、支配と服従の構図を日常的に維持しているわけではなく、たまにSMクラブへと足を運び、
鞭で打たれ、縄で縛られ、ローソクたらされたり、浣腸されたりする。 しかし、それは無常なのです。
その時だけの、つかの間の一瞬の幸せな気持。ああ、無情(>_<)
それを追求する熱意があまりにも巨大なため、それが満たされない時の喪失感も大きい。
老いぼれたマゾであれば、かつての仮想現実における、不完全でも
かりそめの幸福感が、もう二度と得られないことを認めるざるを得ない哀しみを一度や二度経験しているでしょう。
女王様の生前退位というトラウマは、これからも幾度となく訪れてくる。
でも、苦しみや哀しみだって永遠に続くものではない。
理不尽なことは人生にたくさんあります。
たとえ好きだった女王様にもう顔面騎乗してもらえないという、想像を絶する苦しみにも耐えなければなりません。
人の世は常ならず。
時の変わり目を見つめ、じっと待つことです。
プロとして活躍されている現役の女王様は、そのコトを常に心の片隅において、お辞めになる時はまずひと言、「お言葉」を述べ、有識者による議論と検討を経てから、せめて半年以上は前にお声がけ頂きたいと願っています。
どうでもいいか、そんなコト