
この拙ブログの読者の皆さんならば、「毛皮を着たヴィーナス」を知らない人はいらっしゃらないと思いますが、きちんと読んだことのある人は、それほど多くはないのかもしれない。
それだけならまだしも、マゾヒズムの語源となった作者のエロ小説だと誤解されているなら、悲しい。
はっきり言って、エロい作品というほどではありません。
曖昧に描かれていて、やることはやってんだろう?っていう露骨さもないからネ。
そういう意味では、純文学の水準だと言える。
日本で初めて翻訳した佐藤春夫があとがきで、「好色本だと思っていたがそうではなかった」という趣旨の所見を書いている。(つまり残念に思ったのか?)
佐藤春夫訳のものは絶版で、現在入手可能な種村季弘訳が有名ですが、僕は大学時代に佐藤春夫訳を読んでちょっとしたカルチャー・ショックを受けた。

佐藤は言う。「性的ではなく、性愛の心理的一面を深く掘り下げた誇張と歪曲に新しい詩情を感じる」と。
アブノーマルな性癖としてのマゾヒズムの中には、極めて真っ当な愛のエクスタシーが存在する。
そういうコトを気づかせてくれる、世界名作文学の一つなのだ。
未読の方は、読書の秋の一冊にいかがでしょうか。

↑ ※上の英文は Sardax の翻訳から引用させていただきました。
■ 毛皮を着たヴィーナス マゾッホの原作小説について
■ マゾとサドはどちらがより変態か?
■ サドとマゾッホの会話
マゾ:マルキ=ド・サドさんは、多少のMっ気があるでしょう?

サド:多少どころか、実はドMなんだ。
■ 寝取られ