
久しぶりにお盆休みで帰省し、実家でくつろいでいた時、押し入れの奥にしまってあった伊藤晴雨の責め絵画集や自伝と一緒に、団鬼六さんの「外道の群れ」を見つけて懐かしく読んでいました。(鬼六本は他のセクションにまとめてるのですが、この本だけ伊藤晴雨のカテゴリーに入れてあった)
これはSM小説ではなく
伊藤晴雨の評伝で、近代日本SM史の貴重な文献資料ともいえます。
その翌日、偶然にも
北川繚子さんのブログでこの「外道の群れ」の出版記念パーティーの模様が紹介されていました。
まるで能舞台を思わせる演出で、和装の女王様に跪いて足を舐める男

団鬼六というよりは、谷崎潤一郎が好む耽美的世界が繰り広げられる・・・
これがものすご〜く懐かしい。というのも、このイベントを直接は知りませんが、この時に撮影された参加者限定の秘蔵映像を、北川プロの事務所で数年前に見たことがあるのです。暑い盛りに刈谷のガレージを改造した2階で、繚子さんの解説つきという贅沢な状況で・・・
「鬼六まつり」という、今からちょうど20年前に行われた伝説的なイベントは、明智伝鬼や朝霧リエさんなど、当時の(今でも)SM業界の大御所的キーパーソンが集結していました。
左にシャネルさん。一番右がリエさん。その左隣はお尻が悩ましいキョロ女王様か?

新宿の大きなキャバレーが会場で、芸能界やマスコミの知る人ぞ知るといった顔ぶれもチラホラとお見かけました。
三味線や尺八、獅子舞などの和風の演出でステージは賑わいを見せ始め、お約束の緊縛ショーに続き、後半では北川プロの女王様たちによるパフォーマンス(当時としては珍しい)いわゆる「M男調教ショー」が披露されました。
これが実に素晴らしく、SMショーらしからぬ輝きを魅せる芸術的な舞台だったのです。
全体的に和もの構成なのに、リエさんだけボンデージのセクシールックで、なんか浮いていたような気がする...

M男と女王様はほとんど登場しない団鬼六の世界で、なぜこのような演目が?と不思議に思ったものでした。
SMが社会的にもタブー視されなくなりつつあり、女性緊縛系だけでなく、女流縄師がM男を責めるようなショーが少しずつ台頭してくる過渡期のイベントだったようです。

鬼六さんも舞台挨拶をされている時、ボンデージ姿の女王様に絡まれたりしながら、なんとも嬉し恥ずかしそうな、楽しそうにされていたのが印象に残っています。
この年(1996年)の翌年に
ラ・シオラがオープンした。

北川プロで看板女優として活躍していた若かりし日のリエたんの姿がまぶPい〜(>_<)
インターネットが加速的に普及しつつあった時代を背景に、SMをとりまく状況もダイナミックな勢いで渦巻いておりました。

「外道の群れ」は現在は幻冬舎文庫で入手可能
■ SMの女王様に市民権を与えたのは朝霧リエです
■ 祝・ラシオラ15周年! ■ 今そこにある危機
憧れの朝霧リエさんと■ ラシオラのSM 朝霧リエの思想と美学■ 団鬼六の伝記本「赦す人」発売 2012年12月5日付エントリー■ SMキング/団鬼六責任編集SM雑誌
■ 団鬼六「死んでたまるか」■ 往きて還らず■ 春川ナミオの絵について 団鬼六よる春川ナミオのマゾ絵画評!
■ 花と蛇3■ 団鬼六「SかMか」■ 女は縛ると美しくなる
女は縛ると美しくなる ---伊藤晴雨---■ 万華鏡〜抒情と緊縛
竹久夢二と伊藤晴雨の物語
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温故知新という言葉は素敵な言葉ですね
このブログは良いですね~ コンセプトがある。