朝霧リエ関連はそろそろ週刊誌ネタとしても登場してくる時期で、
「アサヒ芸能」にはやり掲載された。秋葉の事件ほど大きくはないが、表紙の目立つところに
「伝説のSM女王様にお仕置きされたドM有名人」というキャプションで見開き入れて3ページのボリューム。これまでの報道にはない、彼女の個性に踏み込んだ構成になっている。
朝霧リエが「お嬢様タイプの女王様」というのは妥当な言い方だと思う。彼女の実家が大金持ちだったかどうかはともかくとして、性格や趣味にはそのような育ちの良さがあらわれている。世間知らずのおっとりしたところが、今回の摘発の一因ともなっているのだろう。言葉責めが上手いと、冒頭で関係者のコメントが紹介されているがこれも正しい。しかし一番の持ち味は鞭さばきで、この部分の取材がきちんとなされている点が評価できる。彼女はこれを独学で身につけた。日本には鞭の伝統も文化もないから、わざわざ西欧にまで出かけていき、独自のSM観とともにその腕に磨きをかけていった。ヨーロッパの性倒錯に鞭は欠かせない。基本的な鞭の打ち方の技術から、どのように打てば安全にかつマゾヒストが悶えるのかといったキメの細かいスキルまでを習得していた。
今日SMと言えば緊縛も鞭打ちも、顔面騎乗やお馬さんごっこも含めてごった煮的な状況であるが、縄や縛りが主流だった日本のSMに、西洋の鞭や革というアイテムを見事に融合させたのは朝霧リエの功績だ。たんにヨーロッパにかぶれた女王様でなく、日本の緊縛についても
志摩紫光から手ほどきを受け、持ち前の好奇心で様々なSM的思想を吸収し、洗練させていったのである。
マゾッホ以来伝統的だった「マゾヒストにとって都合のいいように創造される女王様」ではなく、自立した主体性を持つ真の意味での支配者たる女王様として、新しいSM観を構築した点が画期的であったと思う。
そういう意味において、彼女の個人奴隷になれるのは限られたエリート・マゾヒストだけであった。今風に言うエゴマゾやヘタレではつとまらないし、そもそも満足できるわけがない。
それにしても、エロとスキャンダルがウリのアサ芸の
記事にしては、
まあまあの記事内容に驚いた。かろうじて朝霧リエをこき下ろすことをしていない。志摩紫光さんなど、彼女のよき理解者の好意的なコメントを紹介し、どちらかというと、お仕置きされた「ドM」の方にウエートが置かれている感じ。(なのに、キャプションで期待したほど政治家や芸能人が登場してないが)
大物を奴隷にしていたカリスマ女王様というイメージをどうしても定着させたいのか、あるいは既にそのようなステロタイプがあるのかわからないが、通常レベルのバイアスでそこそこ無難にまとめている。好意的ではないにしても、否定的ではない
初めての記事ではないだろうか。

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