
うまいき〜! (>_<)
終演後の拍手喝采時、僕は思わずそう叫んでいた。
いや、シャレでなくてね。 ← ダジャレだ (。。)☆\バキ 女王亭・舞き〜 SM落語会
この笑いはヤバいよ。ヤバすぎる。
突き抜けた名人芸に、そこにいた全員が感動していた。
このブログでも
時々紹介している、ラシオラの元女王様で、現在はフリーライターとして活躍中の早川舞さんが、ご自身の聖誕祭で、オリジナルの創作落語を披露されました。
いや本当に、
もの凄〜く面白かった。 「おもしろい」というような平凡な言葉を使うのが嫌になるんだけど、正直これほど、スカッと爽やかに笑えるとは、失礼ながら想定外でした。
ステージは新宿のアマルコルドの店内にある檻(の上)
開演直前まで、いつものようにカウンターでグラデスカ(ホステス)として接客していた舞さんが、おもむろに大きい座布団をどこからか持ち出して来て、その檻テーブルの上に敷く。
寄席ではこういうのは普通、付き人か弟子、M男がやるものなのだが、主賓で主役の、いやそれよりも女王様が自分でやっちゃうのが舞さんらしい。
さすがに「人間座布団」は使わないんだ(笑)、などと内心クダラナイことを考えていたら、上半身裸のM男氏が登場し、舞さんが彼のお腹と背中に、墨汁と筆で何かを書き始めた。

「人間めくり札」キタ〜( ゚∀゚ )
SM文化が大衆化し、(S男やM女性は昔から大勢いたけれど)女王様やM男の人口が増えてきて、ついに伝統芸能としての落語のネタになる時代がやってきた。
そういった目のつけどころが鋭いし、出来映えも見事でした。
僕はかねてよりSMにおける女王様とは「表現者」だと常々感じていた。
そこが素人S女性と、プロ女王様との根本的で決定的に異なる点だと思う。
ヤラセも含めて、金銭の授受をともなうパフォーマンス性をいかにして客に評価させるのか。
客席の妄想(要望)次第で、きれいごとでなく、現実としてかなりエグい舞台となることも。
ネタの原点はSMの本質、しかも(よりによって)
顔面騎乗がモティーフ となっているのに、テレビの「笑点」でも通用するぐらい「まっとう」できれいな物語には驚きました。
「
低温ロウソク」とか、「
アナル」とか、まぁ〜それなりにキワドイ専門用語が出てはくるんだけど、古典落語としてのきちんとした構成を巧みに活かしており、SM未経験者でもおおいに笑えたと思います。
しかしながら、この作品で腹の底から笑えたのは、やはりプレイ体験者だけなのでしょう。
僕は自分が経験豊富とまでは思っていないけれど、一応、知ってはいる。(たぶん)
絶対に秘密にしたい、恥ずかしくて、ためにならない、あの密室での体験の数々は、誰にも共有されたくないし、自分でも「いいネ」ボタンは押せないんだ。
しかし、最近思うことに、SMと笑いはもともと相性がよかったのかもしれない。
はたから見れば「恐ろしいほど滑稽」なあの茶番劇には、濃厚な笑いのエッセンスが凝縮されている。
それらを三ツ星シェフのように抽出し、仕込み、熟成させて、舌の洗練されたグルメにはもちろん、味音痴のマニアをも満足させるほどに美味しく調理してくれた女王亭・舞き〜の巧みの芸は、人間国宝級だと思う。
女王様としての「話芸」は、プレイルームを超えて、国立小劇場の観客席にも響くほどの芸術として昇華した。
彼女の凄さは、その才能だけではない。
本番終了後、カウンターで歓談していた時、今回の台本を特別に見せてもらったのですが、M男のキャラクター設定から、筋や場面構成など、ガチでびっしり書き込まれた原稿には、本番直前までギリギリまで粘って推敲し、スクリプトを練って書き直して、またリハを繰り返したのであろうという凄まじい汗のような痕跡に再び感動する。
台詞のほとんどは、どこかで聞いたような、かつて自分も言ったことあるような、そんな微妙なデジャブ感もあったりして、自虐的でシニカルな笑いを堪えることが出来ない。
逆に言ってない、「そんなことは(自分には)恐れおおくて口が裂けても言えない」というような言い回しも出てきて、それはそれで面白い。言ってみれば「あるある」感を(ナイナイ感も?)快楽的に煽ってくれる。
例えば、プレイ後半にM男が顔面騎乗をおねだりするくだりで、「顔面騎乗はやり方によっては責めにもご褒美にもなります!」とMが女王様に促す。それをM自らが言うのかい?!と。
通常(?)は、Mの苦手なプレイが実行される際、女王様がこれを言う(たぶん)
舞さんの実体験なのか創作なのかは謎ですが、リアリティもあっただけに笑えます。
以前から、彼女のライターとしての仕事ぶりとその才覚には瞠目していましたが、実際は明らかに努力の人でした。
ラシオラには昔から努力家肌の女王様が多い。
(それは、リエさんがお手本なのだと思われます)
この日、たまたまお客さんとして来ていた
ラシオラの新人さんともお話する機会があったのですが、彼女の物腰からもそれは感じられました。
本番が始まる前に、舞さんは確か、僕にギャフンと言わせたい、みたいなことをおっしゃっていたようでした。
( ↑ 「ギャフン」という死語は使わなかったけど、なんかそのような意味のこと)
確かに言わされましたね。
最高だった。
素晴らしい感動をどうもありがとう!
*追記:舞さんがお客さんに配っていた手作りミニ冊子が、まるで同人誌のようで、これにもプチ感動(>_<)
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