
カリスマ的女王様として名が知られている
朝霧リエさんが逮捕された。
SMクラブ
ラシオラの違法な経営が摘発されたということらしい。
ラシオラは1990年代後半に彗星のごとく登場した有名店。すでにSMクラブは百花繚乱の時代である。老舗の中野クイーンは別格として、当時勢いのあった有名店には渋谷のクイーンズクラブ、レッドシューズ、デュエット、Bo-Te、池袋の無我、そして新宿プアゾン、コルドンブルー、麗雅、キョロの部屋などがあった。上野ピアスや六本木レーヌなども頑張っていたが、ラシオラは激戦区の新宿に後発のSMクラブとして1997年にオープン。春川ナミオ絶賛の朝之りらやアロマのビデオでヒットしていた天之蘭など、有名女王様をとりそろえて華々しくデビューした。レッドシューズから赤星せいら、プアゾンから真璃絵など、他店で経験を積んだベテランのミストレスも続々と入店し、レベルの高いセッションが提供されていた。バブル経済はすでに崩壊しており、競争が激しいさ中、ラ・シオラは着実に実績を伸ばしていく。
北川プロのビデオにも出演回数が多かった朝霧リエを筆頭に、数々のカリスマ女王様を輩出した。
「ラシオラ」というブランド・イメージは瞬く間に業界にひろまり、オープン当初から黄金時代を築く。入れ替わりのサイクルが短いドミナたちは、ビデオやグラビアなどメディアを賑わしながら、伝説を残しては、消えていった。他の店と比較すると若干高めの料金設定ではあったが、高品質で丁寧なSMプレイはマニアックなM顧客のニーズに応え、単なる風俗店というポジションからは一線を画す独特の存在感を維持していた。数年前に朝霧リエは現場から身を引き、後進の育成に気を配りながら海外をエリアに独自のSM事業をマイペースで展開していた。
朝霧リエはかなり早い段階から西欧、特にベルギーのSM観に注目し、独自のスタイルを確立する。10年以上は早かったその先見性ゆえに、当時の状況としては受け入れられるには時間を要した。
しかし、彼女が導入した西欧のSM観は、日本の通俗的で因習的偏見に満ちたSM観を徐々に脱構築していくと同時に、和風の感性や想像力、美的感覚とも調和していく。ラシオラの「ドミネーション&コミュニケーション」というコンセプトはこうして生まれた。SM自体の多様性や柔軟性を認めつつ、より精神性豊かで、結果的に高いステージを目指すその柔らかな視線は、SMのポップカルチャー化の流れの中で、大きな意義を持っていたように思う。
風営法の改正の余波を受け、プレイルームを持つことが違法となり、従来のやりかたを放置してきたため今回の摘発に至ったとみられる。業界での評価は高く、優良店としても知名度があり、特に悪質な経営方針や違法性が問題ではなかっただけに、残念だ。

(その後、逮捕された関係者は不起訴となり、
ラ・シオラも再開している)
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