
春川ナミオというと、従来のSMカテゴリーの中でも異端というか奇想というか、やや歪な目線で評価されがちな印象が、あったように思う。
もちろん僕を含めて、昔から熱烈なファンは多い。
伝統美にとどまらない前衛性は素晴らしく、評価され注目されてもきた。
近年では
マドンナの大好き宣言が記憶に新しい。
グローバルな人気に今度は違和感すら覚える。
見ればわかる!というその凄まじい絵には、あまり言説を要しない。
何が描かれているのか? 見るものは何を期待しているのか、明らかだ。
言葉にならない感動を、どうにかして表現したい。
僕がSM初心者だった若い頃、これからSMプレイをお願いする見ず知らずの女王様に、自分の願望を適確にお伝えしたいというような時に、強力なツールとなるのが、春川ナミオの顔騎絵図でもあった。
ご同輩の似たような武勇伝もよく伺っているので、春川さんのご功績の一つとして、恥ずかしがり屋のマゾヒスト達の、メタ・メッセージを共有、拡散するために利用されてきたという事実は、正統な歴史であろう。
今年の初め頃、春川さんから突然、電話を頂いた。
久しぶりの近況報告をお互いに交わした後、「春に個展をやるんだけど...」とおっしゃる。
数年前、僕は春川さんの原画展をプロデュースした際、団鬼六さんに巻頭言のようなメッセージを依頼して、展覧会場入り口に「主催者挨拶」のようにして掲出させて頂いた。
■ 春川ナミオの絵について・団鬼六

SM文学の巨匠が春川ナミオのマゾ絵を絶讃!
あの時のメッセージ文言を、今度の展覧会で同時出版される画集に再録できないかというお問い合わせでした。
僕が判断できるものではないのですが、「問題ないとは思いますが、北川さんとも相談してみて下さい・・・」と言うのが精一杯でした。
そんなこともあり、個展はもちろんのこと、発売されたばかりの「Incredible Femdom Art of NAMIO HARUKAWA -ドミナの玉座、あるいは顔面騎乗主義者の愉楽-」を楽しみにしていた。
これまでも何度か、個展や作品の展示販売会は行われていましたが、出品作のほとんどが掲載される図録の販売はなかったように思います。
まるで国立西洋美術館で開催される普通の美術展のようなクオリティで、図録が編集され出版されたという画期的な展覧会です。
この画集には春川さん自らがお茶目な「巻頭言」を披露されており、編集部によるインタビュー記事の書き下ろし、それに加えて、
著名な美術評論家や精神分析医、アーティストの空山基らがメッセージを寄稿されています。
先日
このブログでも紹介した寺山修司の「不思議図書館」の引用部も転載されていました。
読みどころもたっぷりで、資料的価値も高いこの画集、ヴァニラ画廊の会場にて、全て春川さん直筆サイン入りで発売されています。
■ 春川ナミオ展・入場までの待ち時間は最大2時間強! ■ 春川ナミオさんの個展
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