
集英社のスーパージャンプというコミック雑誌は、一般誌だと思っていましたが、読んでみるとけっこうエロい内容です。これまであまりマジメには読んでなかったのですが、この「毒恋」などは立派なSMマンガになっていてちょっと驚きました。
最近はこの種のテーマがもう一般コミックとしても通用する時代なのでしょうか?

過激なエロ劇画誌でもここまでディープにマゾヒズムを描いてはこなかったように思う。そういえば、同じ集英社の「ビジネス・ジャンプ」では昔
「 麗羅(レイラ)」という、SMクラブの女王様が主人公という作品がありました。また小学館のビッグ・コミックスピリッツに連載されていた
Beehive (森園みるく)もクラブ女王様がメイン・キャラクターでした。

しかしこの「毒恋」のように、日常の中にいるごく普通の女性のサディズムというのは、なかなか上手く描けていなかったように思うんですよ。そもそも世の中にはいったい、本物のS女性がいるのだろうか?ということを僕は常々疑問に思っていました。ポーズやキャラでS女を巧みに演じることが出来る女性はいても、心の底から倒錯的にサディストって、実はいないんじゃないか。少なくとも表面的には現れてこないような気がしていたわけです。

もっとも、僕の身の回りには見当たらないだけで、どこかで実際にはいるのかもしれないということを、例えば福満しげゆきの
おねえさんのキックなんていう作品を読むと思ったりするわけです。こんなヘタウマ系の線で繊細なマゾヒズムが明解に表現されるというのは、凄いことじゃないでしょうかね。

子どもの頃、好きな女の子につい意地悪をしてしまう男の子の心理は、倒錯でもなんでもない、ごく普通の感情でした。それを社会人になってから女性上司が男性部下にやるというパターン。これだけなら恋愛ドラマにありがちですが、足を舐めさせてしかもオナニーさせるというのは、SMプレイの定番です。男性キャラはまだマゾの自覚がないところも新鮮でした。なぜなら、普通はM男の方から足を舐めさせて下さいとお願いして、オナニーの許可を求めたりするのが初期設定だからです。
自虐的に自分の惨めさを自覚する哀しみと快楽の矛盾は、わかる人にしかわからないし、表現もできない。この毒恋では、巧みにそのあたりが描かれていて楽しめました。
スーパージャンプ(3/25号)に掲載
【関連エントリー】
>

- 関連記事
-
飼ってこよう…買ってこよう。