SMって「趣味」と言ってもいいものなのか。
一般的には性癖とか性的倒錯とされているように思うのだけど、ライトな感覚できっぱり「趣味」と言えちゃう雰囲気が最近はありそうな気がする。

しかし、趣味としてはいろいろな意味でリスクが大きい。
「Law & Order」というアメリカの人気ドラマで、SMプレイ中に誤って死んだのか故意に殺されたかが微妙な事件が発生した。捜査官は被害者がグッズを購入していたSMショップへ聞き込みに行く。ショップの店員は「顧客のプライバシーを言うつもりはない。偏見が助長されるから」と勇ましいことを言うが、捜査官が被害者はSMプレイ中に死んだことを告げると、その店員は「安全な遊び方を説明したのに!」とショックを受ける。「無駄骨だったな」と捜査官は嫌みな笑いを浮かべる。

視聴率の高い人気ドラマのテーマにSMが登場することには、複雑な思いがよぎる。偏見を助長するぐらいなら、そっとしておいて欲しいんだけど。
刑事ドラマや法廷もので性犯罪はこれまでテーマになりにくかった。レイプ事件は昔からよくあったが、児童ポルノや性的虐待、同性愛を扱うケースは、少し前までは事件自体がクローズアップされることが稀だったし、製作サイドもタブー視していた。しかし、最近の傾向として視聴率がとれると判断したのか、性犯罪そのものをテーマにしたドラマも登場している。

「Law & Order: Criminal Intent」は1990年にファースト・シーズンが放映され、「犯罪心理捜査班」がサブタイトル。容疑者の「心の闇」をえぐり出すような演出が冴え超ロングランヒットになっている。1999年にそのスピンオフとして製作されたのが「Law & Order: Special Victims Unit」で、
性犯罪捜査班だ。もろに性犯罪に特化した内容で実に見応えがある。こちらも現在9シーズン目を迎え高い視聴率を誇っている。

アメリカでは伝統的な貧困層の凶悪犯罪に加え、富裕層やホワイトカラーの性犯罪が急増し、再犯率も高いことから法改正の動きも活発で社会的関心が高まっている。
ドラマで描かれる内容は、ほぼ現代アメリカの社会問題として捉えることができる。
経済的な理由や出来心というのでなく、「性的な動機」から起こる性犯罪の多くは、複雑で意味不明な背景もからんで、捜査は難航する。犯人が捕まってもドラマ的なカタルシスや納得感が得られないことも多い。
特に動機や容疑者の性癖にSM的要素が含まれる場合、多少SMに理解があるとは思っている僕が見ていても
「? ! ?」 みたいなこともある。
それは捜査官が、いやドラマの製作者や脚本家に、SMというものに対する認識不足や誤解があるためなのかもしれない。
性犯罪の中でもSMがらみは、やっぱり「差別」されているような印象なのだ。この分野での「エリート」は児童の性的搾取や児童ポルノ関係。大人同士の趣味の逸脱から発生するSM事件よりは、無力な児童を保護する観点からも優先順位が高いのだと思われる。

最近見た「Law & Order:第9話:勝者の快楽」では、セッションの行き過ぎからプレイパートナーを死なせてしまったケースがあったが、事故なのか故殺なのか、実際にはよくわからない筋立てだった。
ドラマの演出としてサディストを悪人に仕上げているようにもとれたが、判断は視聴者に委ねるようなエンディング。
そういう「アブナい趣味」を持つこと自体が犯罪だとでも言わんばかりに。

昨年日本でも、SM行為の延長で人を死なせてしまったのではないかと思われる事故(事件)が起こっている。
報道を見る限りでは、どうしても通常のセックスにおける腹上死とは扱いが異なってくる。一般人には理解不能な特殊な快楽は、死と隣合わせだ。
最初からSMは悪趣味というレッテルが貼られている。いい趣味とは言えないのかもしれないけれど、違法ではないし、悪趣味というだけの理由で差別されたり、不法に摘発されることのほうが深刻な問題だと思うのは僕だけだろうか。

わからない人々に差別するなとまでは言いたくはない。無理にわかって欲しいとも思わない。
ただ、わかる人たちや、それが好きな人々には、自己責任と合意の上で、きちんとした安全衛生管理のもと、楽しく行って頂きたいと願うのみである。
■ もしも早見あかりがSMクラブでアルバイト(受付)したら 【関連エントリー】

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いやぁこのオチはすごいですね。
いつもながらお見事です。
このセンスがモデラーにもあればなぁ・・
包茎早漏インポな連中が多すぎます。