いきなりSMクラブに行くのはちょっと気が引けるという人は、SMパブやフェティッシュ・バーから始めてみるのもオプションの一つ。普段は出来ないアブノーマルな会話を楽しめる。SMクラブでしてもらいたいことを女王様に伝えるいい練習にもなるだろう。とはいえ、スナックやバーと違ってこういうところは、初めての時はどうしても気まずいものだ。カミングアウトのつもりでいても、間が持たないことだってある。普通の会話以上に研ぎすまされた神経の使い方が必要だと思う。
偉そうに書いてる僕自身、先日行った
SMサロンで、自分のコミュニケーション能力の未熟さを思い知らされた。( ← 今さら遅いって)
SMのことに関して、ブログではわりと自分の恥ずかしい願望なり妄想をうまく書けてたかも?とちょっといい気になっていたかもしれない。実際の会話となるとからっきしダメだった。もともと、普通の会話だって得意とは言えないのだ。SMの会話だけ上手くできるわけがない。だから、あの時に言われた「お得意の文章力で何か言え」という突っ込みには本当にマイッてしまった。
文章の方はある程度準備期間があるし、書き直しもできる。しかし、会話はライブでやり直しがきかない。ああいう場で気の利いた受け答えをアドリブでやれる能力というのは、ほとんど才能の世界なのだと思う。しかし口下手だからといって臆することもない。あちらの方が海千山千だったりするのだから。流れに逆らわず、身をまかせるような快感があるかもしれない。
フェティッシュバーやSMサロンにいるミストレス達は、プレイ経験の豊富な女性が多い。SMという特殊なコミュニケーション・スキルを実践的にこなしてきた彼女達であればこそ、多様なタイプのお客さん相手に対応可能な接客能力も開発され、蓄積されていく。そこらへんのスナックやパブなどで腰掛けでやってるようなチーママやホステスとは質が違う。
店内に初めて入った時、全裸ではないが男性が吊られていた。この時点で僕はもうドン引きである。(俺も吊られちゃうんだろうか?)
初めての客が、それはありえないって (。。)☆\バキ 今から思えば、「やってますね~、ちょっとおじゃましま~す」とか言って、サロンの場に入り込むこともできたのかもしれない。
初めての店でそんなことするヤツもありえないって (。。)☆\バキ このような場所でKYな発言は禁物である。まずは状況を把握し、場の流れやムードを壊さないようにしなければならない。僕は静かにカルテを書き、持参したお土産を渡しただけでしばらく黙っていた。ホントに最初は間が持たなくて辛かった。
一見の客としては、ちょっと空気の読めてないぐらいは許してもらえることもある。もし場違いなことを言ってもそれを正すリアクションに気づけば、別の展開もあったかもしれない。黙っていて「放置」されるくらいなら、多少不自然でも絡んでなんらかの展開を期待したいではないか。インタラクティブなやりとりでしか、「空気を読む」能力は得られないし、進化もない。そうは頭ではわかっていても、なかなか実行できないものなのだ。実際出来ないでいた。ネタは仕込んであったのだが、きっかけをつかめずにいた。

僕は相当緊張していた。
なにしろ数年前から顔と名前だけは知っているきれいな有名女王様が2人もそこにいる。おそらく名実ともに
トップレスのミストレスである。じゃなくて、
トップクラスのミストレスである。そのような状況が、いっそう僕をテンパッた状態にしていた。
楽しもうという意欲だけはあった。それは何も虐めてもらおうとか、吊ってもらいたいとかいう変態願望ではなく、ごく普通の会話レベルでの話である。それなのに自分からは何も話すことが出来なかったのだ。「話題を振る」という、誰でもやってるフツーのことが出来なかった。場に馴染めていなかった。明らかに浮いていた。
テーブルの下に日経新聞が見える。その
広告が目を引いたのでじっと眺めていたら、ふと有名女王様が、
「この広告考えた人、絶対にフェチ入っているわよネ!」 とその新聞を手に取って話かけてきてくれた。
航空会社のものにしてはちょっとエッチっぽいコルセット姿の広告に、僕は目が釘付けになっていた。そしてドギマギしならがらも、
「これを採用したAIR FRANCEの担当者もわかってたのかも!」と応えた。
「あ~、このイメージを企画した人のフェチをネ!」と女王様。
意外なほどほどすんなりと、自然な会話が成立していた。
「変態同士のコラボレーションですね」。なんだか調子がよさそうだ。
どうってことのない、ありきたりの会話だろう。萎縮して黙りこくっている僕に、リラックスできるよう無難な話題を振ってくれただけのこと。どこのスナックでも見かける光景。
でも知ってか知らずか、僕好みの話題(男なら誰でも食いつくだろう)を投げかけてくれたことがウレシかった。思わず飛んできたそのボールを受け止め、なんとか投げ返し、それがきっかけとなってフェティシズムについて肩の力を抜いて話すことができた。
見てないようで、きちんと客を観察している。ルックスは迫力満点のナイスバディに圧倒されたが、話してみると繊細で気配りの上手さに心打たれた。僕のブログも「読んだことない」とは言ってたけれど、多少は読んでいなければ出てこないはずの台詞も聞いたような気がする。平凡なホステスなら客に合わせて知ったかぶりをしていたかもしれない。誠実で上品な「言葉責め」に僕は酔いしれた。
う~ん、惚れたね!
このカリスマ女王様は先月
ユリイカを退店し、六本木でリニューアル・オープンした
モード・エ・バロック というフェティッシュ・バーのママとして活躍されている。今度はそちらへもおじゃまするとしよう。

■ SMサロンに初めて行ってみる
■ 解禁モモカ!
- 関連記事
-