
仮性Mとしては見逃せない、いや聴き逃せない
CD が先日発売された。クールなS女様にもオススメできる素晴らしい完成度の高さに脱帽してしまった。
最近のジェイ・ポップスから、マゾヒストが泣いて喜びそうな歌詞に注目して構成された異色のコンピレーション・アルバム。歌姫にはちょいS女から真性の女王様までラインナップされている(らしい)。
普通の人なら気にもとめないフレーズでも、M男にとっては官能的な言葉責めになる。最近日常会話でもよく耳にする「ドS」をキーワードにした魅惑のおコトバが、ノリのよいハウス系サウンドとともに聴く者を心地好く調教してくれる。
ウレシいことには、楽曲の間にドーパミンをさらに放出する決めセリフまでが、女王様キャラのボイスで収録されている。
「なにぐずぐずしてんのよ」「自分の意見ってモンが無いの?」「目を見てしゃべんなさいよ」 思わず年下の彼女に(いないけど)「声に出して読んでもらいたい日本語」の数々。
必ずどこかで鞭の音がサンプリングされているなど、キメの細かい巧みの芸はJ-POPならではの繊細な表現。
キワメツけはALI PROJECTの
跪いて足をお嘗めがノーカットで入っている。このこだわりはハンパでない。
アルバムの後半部分で「ここで土下座してみなさい」と言われて、思わず跪いてしまった。
ポップでライトな味わいではあるが、聴く人が耳をすませばディープな倒錯のシンフォニーが聞こえてくる。想像力と感性が豊かに広がる。全てのBDSM、フェティッシュ関係者にとっては必見、いや必聴のアルバムだ。

なお、CDジャケットのイラスト&デザインは札幌在住の
上条衿さんが起用されている。グラフィック・デザインもやれるイラストレーターは最近増えているが、シンプルな線なのに存在感のある絵柄が印象に残る。

フリーハンドの下書きをMacでスキャンしてから Adobe Illustratorで処理する手法はアナログとデジタルを折半したようで、新世代のフェティシズムを感じる。手書きのぬくもりを伝えるCGのような味わいが魅力的だ。

この傾向のフェティッシュなアーティストをあまり見かけないので注目している。
もっとフェチな作品を描いてもらいたい。
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