
お気に入りの写真家、カメラマンはいらっしゃいますか?
女の子を撮らせたら篠山紀信? 女王様を撮らせたら
Kazuki さんが思い浮かびますが、お元気でしょうか...
この世界で有名なところでは、
ジョン・ウイリーとか、ヘルムート・ニュートンあたりかな。ボブ・カルロス・クラーク、Roy Stuart、クロード・アレキサンドルはご存知でしょうか。マン・レイを好きな人は多いと思う。
土門拳やロバート・キャパ、岩合光昭さんなど、モチーフや被写体、写真家の思想によって、様々なジャンル、カテゴリーがありますけれども、もし「男性マゾヒスト」を撮らせるとしたら、誰がいいでしょうか?
僕にとっては、自分の惨めな姿を撮影して下さる、セッション中の女王様が、この世で最高のフォトグラファーとなります。
今回ここでご紹介している写真は、僕のビギナー時代のもので、忘れ難い一枚。
僕は全裸で首輪、手かせ、足枷を装着されて四つん這いにさせられ、鏡の前に連れていかれます。
そこで女王様が僕の背中に脚を乗せて、一休みして寛いでいる時のもの。
その時に女王様が、何気なくスナップショットを撮影されたのです。
どんな気分? 今、ナニを考えているの? この頃の僕は、とにかく顔面騎乗をして欲しくて、こんな「人間家具」みたいな、
お上品なプレイはすっ飛ばして、はやいとこ僕の顔の上に座ってくれないかな〜、みたいなコトを考えていました。
もちろん、そんなコトは口にはしません。
まだ僕もビギナーでしたから、かなり緊張していました。
よく覚えていませんが「恥ずかしいです」とか、「惨めな気持ちです」とか言ったかと思う。
後になってから、この写真を、しげしげと見ていて、思ったのです。
客観的に見ても、このシーンはそれほどエロティックでもなく、刺激的とは言えないのかもしれない。
ただ、後づけではありますが、かなり芸術的で、魂を揺さぶる感動的な作品だと思います。
鞭で打たれるでもなく、顔面騎乗されて悶えているでもなく、ただ、じっと四つん這いになって跪いている静かな場面。
個人的には「聖なる時間」が見えます。
おそらく退屈しているであろう多くの鑑賞者にとって、唯一つの関心は、この四つん這いで跪いている男(=僕ですが)が、どんな顔をしているのだろうか?ということぐらいでしょうか。
初心者ゆえの羞恥心に、引きつった表情をしているのか?
それとも、基本的なマゾヒズムの歓喜にウハ〜!状態で舞い上がっているのか?
何も知らない観賞者側にとって、そこのところは推測するしかありませんが、男の表情が見えないところに、この写真の芸術性がある。
一般的な鑑賞者には、知り得ない真実として、僕が被写体本人だから言える事実は、それほど期待通りのプレイにはなっておらず、やや欲求不満を募らせている・・・といった表情なのです。
しかし、そんな事実はどうでもいい。見る人の目には、各自のイマジネーションで、それなりにダイナミックな物語が想像もされ、多少なりともエロティックな、思い思いの FemDomファンタジーの世界が写し出されているのではないでしょうか。
そういう余白の多い、洗練された一瞬を捕らえているこの写真は、純粋に精神的でかつ記号的な象徴性を放つアート・フォトの典型とも言えそうです。
↑ イエネ〜よ! (。。)☆\バキ。
まぁ、自分が写っているのに、芸術的な写真だと言うのもド厚かましいのですが、この写真を冷静に見ることで、当時の現場では判り得なかった自分を、己自身を「他者」として、つまりマゾヒストとしての自己同一性を、初めて認識できたような気がするのです。
これが芸術の持つ力だとも思うのですが、僕自身はこの場合、ある種の特権的な鑑賞者であり、勝手な思い込みに過ぎません。
しかし、ほとんどあらゆる鑑賞者が自由に、自分勝手に解釈していいのです。
芸術が常に爆発するとは限らない。
この写真の撮影者である女王様には、特に意図はなかったであろうと思います。
しかし、意図的にしろ、何気なしにせよ、30数年も過ぎた今、僕にとってはアーティスティックに捉えられた「作品」となり、普遍性を獲得しました。
この時のふとした行為、言葉が昨日のことのようにありありと、鮮明にその記憶が蘇ってくる神秘には芸術性を感じざるを得ない。
そしてそのことに、感謝せずにはいられない。
女王様も、確かあの時、そのようなことをおっしゃっっていた。
「私に感謝しなさい。あなたを、そういう気持ちにさせてあげたのだから」 これは先ほどの、「どんな気分?」と聞かれて「恥ずかしいです」と応えた時の場面です。
セッション中に女王様から「感謝しなさい!」とは、よく使われる台詞です。
口では感謝していますとか、ありがとうございましたとか言っていても、当時は感謝の気持ちが足りなかったと、今頃になってもう手遅れですが、反省しています。
女王様、本当にありがとうございました。
■ マゾ写メ
■ 柊一華写真展「ガールズ」のエクスタシー
- 関連記事
-
女王様の足おき、地味な1枚に見えますが、実は大切。先ずは静から始まり動へ移る。そのプロローグと言えるでしょう。
私の動画に興味がおありでしたら非公開コメントで教えます(笑)