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マゾヒズムに花束を!

恥ずかしくて、ためになる情報発信 Female Domination & BDSM

Rest in peace...ご冥福をお祈りして・・・ 

Rest_in_peace.

 この絵は、Mr.Sardax 氏の最近の作品ですが、彼のブログによれば、昨年亡くなられたあるマゾ紳士とそのプライベート・パートナーであり、ニューヨークのプロ女王様、Mistress Michelle Lacy さんの肖像画として制作されたものだそうです。彼らのコミュニティーの親しい友人たちがコミッション費用を募って、哀悼の意を込めてSardaxにこの肖像画制作を依頼しました。

 そういう事情を知らなくても、この絵には、何か心あたたまる詩情を感じざるを得ません。

 モデルのお二人はニューヨークのBDSMスタジオでセッションを共にしていました。窓の向こう側にも同じような、見覚えのありそうな陰影が見えます。

 そうした、おそらくはかつて活気に満ちていたであろう雰囲気を背景に、しとやかな場面として描かれている。

 ただ、描かれている男性は、もはや帰らぬ人。

 きっと、Sardax の絵のファンだったのでしょう。

 描かれている彼の所作は、Sardaxの筆致そのものです。

 まだお若く見えますが、もしかしたら美化されて、実際はご高齢だったのかもしれません。

 こうした、諸々の絵の向こう側にある「見えない背景」や知識、情報は、作品の観賞、解釈にもやはり、大きく影響します。

 それらを知らずに見るのと、知ってから見るのとでは、大きな違いがある。


 この作品は、死を直視した美を描いた希有な Fem-Domアートになりました。

 
 彼は女王様に恭順の意を現し跪いて、彼女の差し出す手にキスをしている。

 彼女が腰掛けている木箱の中には、いろいろな秘密道具がしまわれているのでしょうか。

 多くの鑑賞者にとって、見知らぬ故人のプライベートな肖像画に前向きな関心を持つことはないだろう。

 しかし、少なくとも近代絵画においては、肖像画のモデルというのはすでに帰らぬ人であることの方が多い。

 死を越えて、失われた時を示唆するかのように、静かな時間が、永遠に続いていく幻惑を見せてくれるこの絵は、僕の心を激しく打った。

 紛れもなく優れた、美しい芸術作品です。


 故人のご冥福を、謹んでお祈りします。




 ■ 春川ナミオさん、逝く








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[ 2022/11/15 16:50 ] 無題 | トラックバック(-) | CM(4)
ありがとうございます。
Sardax氏の絵を敬愛する方に献上するのは夢ですが、今見たら一見さんお断り状態のようで...唯一無二の方だけにそうなるのも当然ですよね....

故 春川氏は画風的に受注制作などされていなかったのでしょうかね...
[ 2022/11/16 00:51 ] [ 編集 ]
homerさんの知識の豊富さや文章のうまさには以前から、すごいなーーとあこがれておりました。
今回のブログはさらにさらに、ジーーンときてしまいました。作品という物はそういう風にみるんですね。
NYの背景、木箱の中身、そういうことに気がつかずに作品を見ている私にはびっくりです。確かに作品の見え方が違ってきますね。
sardaxの作品を見直してみたくなりました。

NYのスタジオ、、行ってみたいな、、と思いつつ、故人のご冥福を祈ります。
[ 2022/11/16 06:04 ] [ 編集 ]
おお! Sardax いいですよね。

 今、コミッションを制限しているのは、おそらく体調の問題かもしれません。クライアントは世界中に大勢いるし、全て引き受けていたら身がもたないでしょう。彼も歳ですから、無理はしたくないようです。でも描きたいという情熱は衰えることはないでしょう。

 春川さんは既成の作品を知り合いやファンに譲ったりすることはありましたが、あの巨匠に「こんな感じで顔面騎乗されてるとこ描いて下さい〜」みたいな依頼をした人はいません。したかったという人を知ってますが、そんなこと出来るわけないですよねえ〜って言ってました。

 雑誌に載せる作品でも編集者と打ち合わせぐらいはしても、小説の挿絵以外では絵のスタイルの注文はつけてないです。そういうこともたまにあったかもしれませんが、春川さんは基本、「自分が描きたいものをこだわって描く」というのがスタイルでしたね。

 「少年ジャンプ」じゃないんだから、アンケートもないし、ネームの打ち合わせもなし。我が道を逝くあの独特のスタイルと作品世界はもう国宝級でしょう。いや人間国宝、世界遺産だ。

 偉大な画家・芸術家だったと思います・・・
[ 2022/11/16 17:02 ] [ 編集 ]
 おお! コメントありがとうございます。

 少し悲しい逸話でしたが、もっと明るいモティーフの絵でも、画家の意図や、モデルになった人々の気持ちに思いを馳せるのは、絵の鑑賞を深めたりしてくれます。もちろん、絵だけで何かを感じることが出来ればそれが一番だと思います。西洋の風景画でも日本の水墨画でも、絵画芸術の観賞の仕方にお約束や決まりはないと思っていますが、ある種の型にはまっている場合、それらを知っていると、他の作品を見る時に楽しめると思います。

 Sardax氏の場合、依頼主からの受注制作であるという前提で見ると、こういう性癖の旦那が崇拝している女王様に捧げる肖像画である場合が多い。コレが Sardax作品の一つの型式ですね。そうでない作品もありますし、小説の挿絵もあります。数年前にSardax自ら再翻訳した「毛皮を着たヴィーナス」に自分で挿絵を入れて出版されましたが、その絵は素晴らしかったです。
[ 2022/11/17 19:41 ] [ 編集 ]
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