
僕が撮影のお手伝いをした北川プロの新作DVDがついに発売になりました。
裏方として関わった者の言うことではないですが、予想以上の素晴らしい出来に驚きました。誰がどうみてもこれは面白いと思います。「意外性」という意味で。
北川プロの作品というのは、昔から手間ひまをかけたものが多い。ストーリー性のあるものはもちろん、女王様やM男サイドからの売り込み企画やセミドキュメンタリー風のものまでバラエティーも豊富だ。フェチから黄金まで、どんなタイプの内容でも一貫しているのは良い作品づくりへの情熱である。
辛口な表現をするならプロフェッショナルな意識は薄く、儲けに走っていない。それよりも自分たちのこだわりや趣味性にこだわってきた。
その結果として、売上げ的な数字よりは、コアなユーザーの満足度の方が高く、各作品のばらつきは激しい一方で根強い支持率は安定している。似たようなことは、北川プロの元M男優が立ち上げたヤプーズマーケットの作品にも言えるのかもしれない。
それでも最近の北川プロは変ってきた。ネットで過去作をディスカウントしたり、ストリーミング配信やダウンロード販売など、厳しい業界での生き残りをかけた必死の戦略がみえる。一時期から新作でのジャケットには春川ナミオのイラストがみられなくなり、新たな企業イメージを模索している印象だ。
今回のジャケット・デザインもその方向性の現れだろう。北川プロはM男市場という狭いマーケットから、若い女性層にターゲットをシフトしているかにみえる。
時代とともにSMの多様性や価値観も大きく変わり、北川プロが果たして来た一つの役割はすでに終わっている。マニアにだけ受ければよいという古い体質から脱皮し、新たなユーザー層にも受けいれられる作品づくりが求められている。
今回、北川プロが初の札幌取材を行ったのにはこのような背景もあったのだろう。
北海道出身で今最もアクティブな山咲美花女王様による誠実なナビゲーションが、この新作の主軸となっている。美花さんは一人で企画&プロデュース、そしてディレクターとキャスター業務、さらにSMのセッションではプレイヤーとしても登場しつつ、とっさに小道具をもこしらえてしまう器用さなどマルチなタレントぶりを発揮していた。
あまりにも健気すぎて、僕の目から見て「ゆるい」面も多々あったのだが、それでも周囲を納得させるリーダーシップは流石だと思った。

もちろん忘れてならないのは地元札幌の実力というか、主な出演者となるお客さんである。彼らがみせてくれたパフォーマンスの高いクオリティが、この作品の命となっている。
「SMが好きだから」というごく単純な理由で集まった地元ボランティア達の、リアルであからさまな姿には感動せざるを得ない。
北海道にも「ちゃんとした」変態さんがいる。
それは当たり前のことだが、どこにでもいるごく普通の人達でもあり、東京あたりと比べてどうのこうの言うのはナンセンスとは思うが、札幌のSMシーンは想定外に熱かった。正直言ってこれが一番意外だった。従来のコアなファンには「意外性」というサプライズがあり、新規ユーザにとっても付加価値情報が充実している。
ただひとつだけ残念なのは僕の撮影技術の未熟さで、こればかりはどうにもならない。そのウシロメタさがあるから、自信たっぷりにおすすめできないのがツライ。でもそこんとこだけ目をつぶって下されば、本当に恥ずかしくて、ためになる内容です。「SM紀行」というタイトルはだてじゃない。SMクラブやフェティッシュバーに行ったことのない人はもちろん、ヘビーユーザーにも新しい発見があるはずだ。
【追記(2009年11月】 このDVDには、僕が趣味的に編集した春川ナミオのイメージ・ギャラリーが収録されています。
これは夏に
春川ナミオさんとお会いした時にプレゼントしミニクリップで、北川さんがご好意で入れて下さいました。春川さんご本人も絶賛(?)された貴重でマニアックな映像となっております。
・・って、作った自分で言うことじゃないですが、ご覧になった方はご感想をメールかコメントでお知らせ頂けるとウレシいです。オマケ映像にしてはそこそこのレベルだと思うんだけど...どうでしょう?
【取材協力店】
幻想空間 CURE Club Patio フェチパブ Hee&Kwai フェティッシュバー BARBAR SMクラブ Black & White【関連エントリー】
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どんなご縁で(岡山編)
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