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マゾヒズムに花束を!

恥ずかしくて、ためになる情報発信 Female Domination & BDSM

「奇譚クラブ」とその周辺  

「奇譚クラブ」とその周辺 (河出i文庫)「奇譚クラブ」とその周辺 (河出i文庫)
(2006/06/03)
濡木 痴夢男

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 この本は、前著 「奇譚クラブの絵師たち」でも当時の裏話を生き生きと綴っていた濡木痴夢男氏の労作。

 「奇譚クラブ」を狂言まわしとする

戦後SMのガイドブック

 として読める、とても貴重で味わい深い内容となっています。

 濡木さんは最初は同誌の熱心な投稿作家だったのですが、「奇ク」の編集者で絵師でもある須磨利之(喜多玲子)に誘われ、「裏窓」の編集者になりました。

 その後、緊縛写真の縄師やビデオ監督などとしても活躍し、戦後のSM文化を裏からも表から支えてきたキーパーソンです。

 近年では映画「縛師」に登場する3人の縄師の一人として出演されていたのが記憶に新しい。

縛師 ―Bakushi― [DVD]
(2008/12/05)
濡木痴夢男雪村春樹

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 戦後の風俗雑誌「奇譚クラブ」は今でも古本屋などで入手可能で、たまにヤフオクでもいい値段で取り引きされてます。

 僕はたまたま小学生の時、道ばたに捨てられていた数冊を拾ったのが運命的な出会いとなりました。

 それ以前、時期ははっきりとしませんが7才か8才ぐらいの頃に、僕は同級生の女の子から顔面騎乗をされたことがあって、その時の記憶が春川ナミオのイラストによってフラッシュバックしたのです。

 この衝撃をきっかけとして、幼心に芽生えつつあったマゾヒズムを明確に意識することになりました。

 世の中にはこのような世界があるんだ...  と

 あまりよくわかっていなかったなりに、少し安堵したような思いが忘れられません。

 僕にとってはバイブルとも言える「奇譚クラブ」でしたが小学生が部屋の本棚には入れられない。

 うかつなことに、ベッドの下に無造作に隠しておきました。

 まだオナニーなどは知らない年頃です。 

 大切にしまっておいたと思ったのに、ある日それが突然な~い?! (泣)

*注 過去ログの 「スパンキング」「性癖の親バレ」を参照


 母親が掃除の時にでも見つけて処分したのは明らかでした。(汗)

 それがマンガ雑誌ならば「アレどうしたの? (-_-メ) ...」と文句の一つも言えたのですが、モノがモノだけに何も言えなかった。

 母親の方もどういうわけかこのことに関しては何も言いません。

 「奇譚クラブ」はその当時にすでにカビくさい古本でしたし、見た目もヌード雑誌のようなものでなく、どちらかというと文芸誌のような装丁だったのが幸いしたのか、母にはもしかするとそれほど深刻には受けとめられなかったのかもしれない。


奇譚クラブS27_7 KItan_1953_10 KItan_1953_12


 母がどう思ったかはともかく、僕はとんでもないことがバレてしまったと落ち込みました。

 それまで学校でも家でも「優等生」としての自負があったので、これはもの凄いショックでした。

 イケナイことをしてしまった。恥ずかしいことをした。しかもそれが無視されている。

 親に軽蔑されている。そんな劣等感に苛まされた。

 家庭内では何ごともなかったかのようにして、その悲しい思い出は流れていきました。

 一方で、捨てられしまった雑誌にあったイメージを必死で思い出そうとしている別の自分がいる。

 これはこれでまたショックでした。

 特に女性が男性の顔に座っている写真や春川ナミオのイラストのイメージが忘れられない。

 もう二度とそれらが見れないのかと思うと、死にたくなりました

 (親に恥ずかしい性癖がバレたからといって、死にたいとは思わなかった)

 この時の喪失感がそれほどでもなければ、M性へのこだわりも深刻にはならなかったのではないか。

 今となってはわかりませんけど。


 僕が小学生だった当時(1970年代)は「SMキング」「SMコレクター」「SMフロンティア」「SMマガジン」「SMセレクト」といった、誌名に「SM」を付けた雑誌の発刊ラッシュのような時期でしたが、買ったはいいけど家の中での処分に困った大人たちが、けっこう投げやりに捨てていたようです。


    


 郊外のゴミ置き場にはたいていエロ系週刊誌の陰に隠れたかたちで、こういったSM雑誌もよく見かけました。

 僕はさながら  ホームレスのおじさん のように物色 しては、

 SM関係の雑誌だけをひたすらかき集めて家に持ち帰ったものです。

 今度は絶対に見つからないよう細心の注意で保管しました。

 そういう負の遺産を心の奥底に、ずっと大切にしまってこれまで生きてきた自分を、誉めてあげたい。


奇譚クラブ_女性天下時代 奇譚_女性天下時代2 奇譚_女性天下時代2 奇譚_女性天下時代4
1952年(昭和27年)「奇譚クラブ」7月号で、須磨が自ら企画・構成を手がけ、挿し絵も描いている「女天下時代画集


 「奇譚クラブ」は時期にもよりますが、比較的グラビア写真が少なく、読みもの中心でした。

 しかしイラストにFem-Dom系のものが多く、特に春川ナミオ以外にも男性マゾヒズム願望を満たすような作品が多く掲載されていたのが印象に残っています。

 他のSM雑誌が女性緊縛写真やS男性向けの構成に偏っていたことを思うと、「奇譚クラブ」はバランスがとれていました。そのページに掲載されている小説や記事とは関係なしに時々登場する「イメージギャラリー」という読者投稿のコーナーがあり、そこには「犬女」などで知られる室井亜砂路の作品も見られました。岡たかしや飯田ひろくになどがM男ものをよく描いてました。

 四馬孝や杉原虹児といった大御所も奇クのイメージギャラリー出身です。

 戦後のSMを語る上で欠かすことの出来ない貴重な資料としての「奇譚クラブ」ですが、僕にとってもM心の故郷のようなものなのです。



 SMペディアのエディターとしても知られるコタケ♂ さんのブログ Ardent Obsession III で、奇譚クラブに関する素晴らしい記事がエントリーされています! 

「奇譚クラブ」ファンの方は必見!!



【関連エントリー】

■ 秘密の本棚

■ 温故知新

■ 須磨利之

■ 沼正三

■ 伊藤晴雨

■ 奇譚クラブ

■ 奇クのイメージ・ギャラリー

■ 春日ルミ

■ 鼻責め

■ 室井亜砂二

■ 緊縛の女王・絹川文代

■ SMスナイパー廃刊

■ 女性雑誌「CREA」

■ フェムドム・メディアの台頭










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[ 2011/11/13 08:06 ] マゾの本棚 | トラックバック(-) | CM(4)
>もしかして「奇譚クラブ」世代でしたっけ?
過日こんな質問らしきレスがあったのでお答えしておきますね。
このブログを読んでいると、おそらくhomerさんと私は、ほとんど同世代ではないかと、
推測しているんです。(60年代前半生)そして、六本木の某所からSMクラブへ電話したとか、似たような体験もあるのです。
女神酒(Nectar)という表現は、
『「奇譚クラブ」の人々』 北原童夢 早乙女宏美(河出文庫)の 「神の酒が飲みたい」を読んだ影響です。
私の感覚では、伏字遊びというよりも、造語遊びと言ったほうがいいかもしれません。
奇譚クラブは殆ど読んだことはありませんが、これから収集してみるのもいいかも^^;
ところでhomerさんは、嬲られるのと嫐られるのでは、どちらがいいですか?
もちろん、ですよねー
[ 2011/11/13 16:37 ] [ 編集 ]
 コメント返答ありがとうございます。

 さすがに「奇譚クラブ」をリアルタイムで購読していたような世代は、もういらっしゃらないのかもしれません。

 ただ、傾奇者さんがお使いになられるボキャブラリーやコメント内容から、もしかしたら僕とは同世代なんだろうなと思っていました。

 早乙女宏美の「奇譚クラブ」の人々は僕も初版で読みました。この本、突然文庫で、書き下しに近い状態で出版されたんですよね。原本記事の閲覧や入手が難しい今、この雑誌のオリジナル記事をこのように体系的に読めるような書籍は貴重です。

 ネクタールや神の酒という表現を使った妄想や体験記は、60年代~70年代のSM雑誌でもかなり多く見かけました。子どもの頃のほうが、純粋に飲んでみたいなという願望は強かったと思います。

 今でこそSMクラブやM性感で気軽に体験できちゃうのでしょうけど、昔は相当苦労して相手を見つけないと実現できない、それこそマゾヒストにとっては「奇跡の体験」だったのでしょう。現在一般的に使用されている「ご聖水」という言葉も、よくよく見れば伏せ字というか造語です。言い得て妙なり。

 そういえば「嬲る」とか「嫐られる」という言葉は北川プロの作品名にもよく登場しますが、北川繚子さんも「奇譚クラブ」などを参考にしてよくビデオタイトルを考えていたそうです。
[ 2011/11/14 14:01 ] [ 編集 ]
「女天下時代画集」の4ページに掲載された8枚の画のうち2枚が、「お馬さんごっこ」をテーマとしています(一枚は「二本脚の馬」ですが)。

そのうちの一枚に添えられた文章は「妻の馬になる男」に関するものです。

このことからも、「お馬さんごっこ(人間馬)」に憬れる「馬派M」が、当時のM界で大きな位置を占めていたことがうかがわれます。馬派Mが圧倒的少数者となった現在からは、考えられないような隆盛ぶりですね。



[ 2011/11/17 06:38 ] [ 編集 ]
 この当時は大人のおもちゃなどまだ売ってなかった(というか品物がない?)でしょうから、鞭とかローソクや縄などの小道具を使うようなプレイは、やりたくてもできなかったのでしょうね。当時のマゾヒストの発想としてもまだありえなかったのかも。戦前に「痴人の愛」がヒットしていた影響も残っていたんだと思われます。

 支配と服従という「お約束」だけで実現される女性上位の身近なスタイルとして、庶民のSMプレイとしてお馬さんごっこは今の我々が想像する以上に普及していたのではありますまいか... 

 高度経済成長を経て世の中が豊かになり、暮らし向きも激的に変化していく中で、より昂奮を高めてくれるタイプにSMプレイも「高度成長」していった。

 地方都市へポルノショップが進出し、密かにSMプレイを行う夫婦やサークルが増え、大都市ではストリップショーの添物だった「残酷ショー」などのパフォーマンスも人気が出てくる。見栄えのする、より刺激的で肉体的な快楽と苦痛を伴う派手なSMが、どんどん主流派のポジションを獲得していったのでしょう。

 お馬さんごっこの衰退とともに、SMに情趣もなくなっていったような気が致しまする。

 閉塞した不透明な格差社会である現代にこそ、精神性の高い純粋なSMの基本となるお馬さんごっこの復活が求められているのです。


   お馬さんごっこ普及振興会事務局より


[ 2011/11/17 08:28 ] [ 編集 ]
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