SMの歴史的起源は世界四大文明の発祥とともに始まったと言われている。
鞭の使用 ------ メソポタミア文明
ローソク ------ エジプト文明
浣腸 ---------- インダス文明、
緊縛 ---------- 黄河文明
紀元前3500年頃、シュメール人によるメソポタミア文明から農耕文化が発達。
家畜や奴隷労働の道具として人類史上初の鞭が考案されたとされる。

やや遅れて紀元前3000年ごろのエジプト文明では、
ピラミッドの建造のために、 暗くて狭い場所での灯りとしてローソクが使用され、それが犯罪者への拷問にも利用されていた記録が残っている。
インダス川の氾濫による肥沃な土壌から発展したインダス文明においては、公共的な水洗トイレが早い段階から作られており、人々は河川に排泄物を流していた。あまりにもカタい便では川で溶けずに異臭を放つため、用を足す前に自ら必ず浣腸するようになったのがそもそもの始まり。貴族は最初これを奴隷にさせていたが、排便をこらえるのに快感を見いだし、支配階級同士の親密な関係を強めるような儀礼行為として洗練されていく。
やがて奴隷に浣腸して排便を我慢させるゲームが貴族に流行し、いわゆる「浣腸プレイ」のルーツがここにある。
鞭で打ったり、ローソクの熱さで苦しめるのではなく、人間の生理現象を利用したこの拷問形式には、羞恥という未知なる快楽の追求を目指す高度なSM文化を花開かせる舞台装置となった。
このいわゆる「羞恥文化」はイスラム圏から西ヨーロッパへ普及する一方、シルクロードを通じて東方にも伝播。
マルコポーロによって国や民族、宗教の境を越えて全世界に重要な影響を与えた。
意外と知られていない事実だが、緊縛文明は遣唐使によって仏教とともに日本へ伝播し、縄文文化として発達したことが、縄文式土器の製法技術によって裏付けられている。
中国から渡来した技術や文化は日本で独自にカスタマイズされ、稲作や農耕の道具として麻縄による様々な工芸技術が発達していた。この縄による造形感覚が人間も縛るという意識を生み、戦場での捕虜や犯罪人の拘束のための捕縛術として進化していくのである。
これが後に奈良時代、鎌倉時代を経て、緊縛道、緊縛美という概念に洗練され、江戸時代の刑罰や拷問文化と融合し、現代のSM緊縛系カルチャーに通じている。
こうしてSMの4大文明のツール、鞭、ローソク、浣腸、縄が、
産業革命により大量生産 され、
近代SM文化を大衆化していく起爆剤となっていった。
それまでのSMは貴族社会の特権的ライフスタイルであったが、マルキ・ド・サドによって再構築され、時を同じくしてマゾッホによる奴隷願望論、マルクス主義フェミニズムなど、各方面からSMへの啓蒙時代へと突入する。
様々な社会思想、政治や経済的要因、芸術や医療といった新しい視点からSMの概念も多様化していく。
現在SMというキーワードには4大ツール以外にも多くのアイテムや形式、スタイルがあり、その定義やスキルも複雑で膨大なものなっている。
現代の人権意識からは不適切な表現や行為も含まれるがゆえに、云われなき誤解や偏見も多く生み出してきた。
しかし、情報テクノロジーや脳科学の飛躍的発展により、人間の感情・欲望、神や迷信などを含む心の現象や精神構造を科学的に分析することが可能となってきた。
SMは、
数百年に及ぶ進化が形づくった人類の普遍的特質 として理解すべきであり、人間の本質を追求する方法論として熱い注目を集めている。
今後の課題としては、特にお馬さんごっこや顔面騎乗などのように、四大文明から疎外された行為について、冷静で公平な評価が待たれる。
この種のプレイが、SMクラブで理不尽な扱いを受けている現状は、なんとしても打破しなければなるまい。
・・・・ m(_ _)m
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