劇場公開時にうっかり見逃してしまい、前々から見たい見たいと思っていた映画をついにDVDで見ました。
ベティ・ペイジ はアメリカでは伝説的に有名なピンナップ・ガールです(もちろん日本でも)
知らない人にわかりやすく説明するなら、M女さんの象徴みたいだった存在。
すでにSMが市民権を得ている21世紀の評価はどうだったのでしょうか。
女王様というイメージではなかったのだけれども、ボンデージ・コスチュームでギチギチに拘束された写真の印象は、今でも僕の心メモリーに鮮明に保存されております。

猿轡をかまされ両腕を縛られた彼女の下着姿は1950年代の全米を震撼させた。
そのインパクトは戦後の日本にも「奇譚クラブ」などを通じて届いている。
彼女によって、BDSMのスタイルが全世界に認知されたと言っても過言ではない。
しかしこの映画は18禁ではなく、きちんとしたエンタテイメント系のまともな内容です。
脚色で多少ドラマチックに、彼女の半生をドキュメンタリー風の演出で上手くまとめている。
鞭打ちシーンをヤラセで撮影しているアービング・クロウのスタジオ風景は実に楽しそうだ。

アーヴィング・クロウとベティ・ペイジ
ふと、北川プロの和気あいあいとした撮影現場を思い出した。
表に出る映像はエグい場面がことさら強調されるけれど、その舞台裏は意外と健全なのものです。
ベティ・ペイジ旋風は当時の保守的な米国社会においては、相当にショッキングだったようです。
議会でも取り上げられ、告発の標的にもなったのですが、今の感覚で見るとそのエロスに過激さは全く感じられない。

BDSMの先駆者である
ジョン・ウイリーの
"No Sex, No Nudity" 思想を踏襲した、僕に言わせれば実にほのぼのとした世界。
現存する当時のフィルムを映画本編で見ることができるが、まったりとしていて微笑ましいほどです。
しかし、明らかにそれまでになかったイマジネーションの起爆剤にはなっていた。
拘束され、責められるのが女性だったからまだ許された(?)因習的なムードの中で、男性マゾヒズムの萌芽がかすかに見えてくる。
それが世間やメディアに受け入れられるまでには、まだ少し時間が必要だった。
珍しく鞭を持ち、女王様っぽい雰囲気

しかし男を鞭打つことはなく、女同士でじゃれあってばかり


もっぱら虐げられるシチュで売られていたベティ・ペイジではあったが、彼女の画期的な存在感が、その後のアメリカ社会で花開くFemale Domination カルチャーを後押ししていたのは間違いない。

僕と同じように、ベティに鞭打たれたいという妄想を心秘かに膨らました、潜在的M男がいなかったはずはないのです。
ベティを演じたグレッチェン・モルは本物よりも健康的で可愛らしく、ハマり役だった。


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こちらもロードショー(←もしかして死語?)当時は成人指定ではなかった。
しかしインモラルな映像美には圧倒される。
見る人が見ればわかるという、その微妙さに萌え。
イヤラシイ作品と思われているかもしれないが、静かな大人の映画である。
■ ブレードランナー 
アンドロイドは電気ムチの夢をみるのだろうか?
マゾヒストを死なない程度に鞭打つレプリカンントの開発を望む!
■ 奇譚クラブのイメージ・ギャラリー
■ 女性上位時代
■ 実写版「ヤッターマン」
■ 妖怪大戦争 意外と共通点のあるマゾと妖怪の生態(^^)
■ 小津安二郎 「麦秋」
紀子 : ねえおばさん、本当に私みたいな売れ残りでいいの?
たみ : へ?
紀子 : 私で良かったら...謙吉さんの女王様に...
(中略)
たみ : 紀子さん、パン食べない? アンパン。あ、ついでに 鞭でも打ってみる? inspiered by マミヤシュウキチ ■ 春日ルミ 日本版ベティ・ペイジ? 戦後のメディアに初登場した伝説の女王様!


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