
SMでいうところの女王様には、ある意味で女優のような才能が必要だと思います。
しかし、それは「演技力」とは性質が少し異なるような気がする。
「女王様」のフリをするだけでは、化けの皮がすぐにはがれてしまう。
本来的に持っているS性なりキャラクターを役に投影させなくてはなりません。

そうでなければ、観客である(またはSMクラブなどでは主役ともなる)M男の心に感動を与えることはできない。
M性感やヘルスのように単純な「抜き」だけが目的であるならば、演技力だけで事足りるのでしょう。
(演技力よりは指先のテクニッックのほうが重要かもしれません)
射精のみに快楽を求めない純粋なマゾヒストを相手にする場合、女王様の資質には演技力プラスアルファーが必要となります。
それは例えば「品格」と言い換えることができます。
品性や格というのは、スキルのように一朝一夕で身につけられるものではありません。
北川プロは、そうした高度な資質を満たす女王様を数多く輩出してきました。
朝霧リエ
古くはシャネルさんや、目黒依子、そして朝霧リエ、飛室璃杏(Eve)さんたちのように、誰がどうみても「この人は女王様だ!」と納得させられる風格というものが歴代の女王様にはありました。
昨今のフェチ動画や巷にあふれるDVD作品において、女王様キャラこそ増えたものの、この種のオーラを感じることのできる女優さんを残念ながらあまりお見かけしません。
Kika いや、どこかにはいるのかもしれないのですが、なかなか頭角をあらわすことが難しくなっているようです。
その大きな理由の一つにM男市場の拡大と軟弱化があります。
バブルの絶頂と崩壊、ネットと携帯の普及を経て、日本の大衆文化は激的に変化しました。
それはエロスやタブーにも大きな影響を与え、SM的な女王様と奴隷の関係性や距離感も変えてしまったのです。
ケイト ナンパな自称ドMが増えたことで、求められる女王様像のイメージも変化してきている。
目も眩むようなオーラを発する女王様がいても、それを感じる、受け止めることのできるM男がいなくなった。
オーラも演技力もなく、素人にボンデージ衣装をつけただけの着せ替え女王様で、それなりに満足してしまう。
そのようなユーザーが多数派となり、そういう市場原理から軟弱なコンテンツが増える一方です。
昔は優秀なM男が女王様を「逆調教」して、人としても魅力的なミストレスに育て上げるような暗黙のシステムがありました。
ジーナ

もちろんSMプレイの最中にM男が偉そうに「違う、そこはそうじゃない!」みたいに指導するわけではなく、女王様の資質や適性を見抜き、プライドを気遣いながらスムースに育成していく器量がM男のほうにあった。
最近はそういうM男性がなかなかいないので、よい女王様も育たないようです。
北川プロのような、老舗の本格派が苦戦しているのもそうした背景があるように思う。
飛室璃杏(Eve) 悪貨は良貨を駆逐するではないけれど、M男の質が下がったことで、女王様のレベルも下がってしまいました。
この両者はインタラクティブに、影響しあうものなのです。
魅力的な女王様と、その女王様の魅力を最大限に引き出せるM男。
この両者がお互いを高めあうような、がっぷりと四つに組んだSMセッションを、僕は観てみたいです。
Photo Kazuki ⓒ北川プロ

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m(_ _)m
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私はM男市場拡大で一番心配したのは各クラブの超教室(ルーム)でございました。
中野クイーンのルーム、六本木レーヌのルーム、優雅・麗雅のルーム等の老舗のルームなどはまさしく、M男にとって神聖でありました。ルームに入ってたら、出て来る迄は人間性は捨てなくてはなりませんでした。
そのような経験も出来ずにラブホテルで調教を受けるという事は悲劇だと思います。
都条例の改正でとどめですね。
SMを理解出来る方が早く改正して、SMだけは各クラブのプレイルームでも構わない様にしていただきたいです。
もし、私にお金があったら、そのままそのプレイルームを保存しようと思ったのは
1-六本木レーヌのルーム
2-六本木クールのルーム
3-赤坂マニアックのルーム(秀美さんが全盛の頃)
となります。
どれも、神聖な場所という雰囲気を醸し出していました。
残念で仕方ありません。