僕はMなので、最近「花と蛇」をみたぐらいで、M女が責められる話にはあまり興味がない。
だから団鬼六のSM小説はほとんど読んだことがなかったが、この人の情趣あふれる文章は大好きである。
以前も書いたようにこの人は
「往きて還らず」のような、純文学系のほうがいい仕事をしていると思う。
数年前に偶然あるSMイベントでお会いし、その後フェティッシュバーまでご一緒した。
この時、人工透析を週に3日(1回4時間)も行っていると伺って「ああ、この人もう長くないないのかも...」と思ったものでした。その当時も入院中だったのに医師が止めるのを無視してSMイベントに出演していた。
「そこまでして生きたいと思わない」とおっしゃってました。
今年になってからは食道ガンと診断されたのに、またも手術を拒否し、「今度こそマジでヤバイな」と心配していたところにもってきてこのタイトル...
この人はそう簡単には死なない。 そう思い直した^^
実は、別に隠していたわけではないけれど、団鬼六氏からは「春川ナミオ原画展」に寄せて謝辞を頂いており、近況はなんとなく耳に入っていた。心配していた以前よりはお元気そうである。
先月発売された
「死んでたまるか」は、過去のエッセイの自薦集。
自伝的な珠玉のエピソードが時系列に並び、僕は文豪の随想集のように読んだ。
感動にうち震えながら読み終えた時、ひょっとしてこれでお別れなのかも....とも思われた。
もっと若いかと思っていたが終戦の年に中学2年生だったということは、昭和ひとけた生まれかい?
(著者紹介のプロフィールには1931年生まれとある。昭和何年だ?)
ってことはもう80歳におなりになるということで、B26の空爆を生き残った戦中派だったとは知らなんだ。
原作小説が日活ロマンポルノで映画化された官能小説家というイメージとはちょっとズレてくる。
育ち盛りの少年時代に食糧難を経験し、生きるか死ぬかの修羅場を踏んできたわけだ。
村上春樹のような、戦後生まれで芦屋で育ったおぼっちゃま小説家とは格が違う。レベルが違う。
それを知ってこの「死んでたまるか」を読むと、また感慨深いものがある。
ご本人が嘆いているように昨今ほとんど見かけなくなった「情趣」あるSM作品を、もっともっと書いて頂きたい。
最近はM転したような印象もあるので、ぜひM男向けの小説をお願いします!
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■ 花と蛇3■ 団鬼六「SかMか」■ SMキング/団鬼六責任編集SM雑誌■ 往きて還らず こちらも面白い ↓
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今は谷崎潤一郎の「痴人の愛」を読んでいる最中です。
まだ読み始めたばかりですので、現在の二人の関係が
この先どのように変化していくかが楽しみですね。
homerさんが紹介されているものも参考にしながら、
もっと読書に親しんでいこうと思ってます。