
今の若い人たちに、出会い系に手を出す前に観て頂きたい映画。
僕と同世代でも観ている人は少ないのかもしれない。
黒澤より、僕は小津の方が好きです。
小津安二郎の映画を世代的にリアルタイムで見ていたわけではないのですが、ほぼ重なる時期の記憶は僕にも残っている。
古き良き昭和の価値観と混沌がバランスよくマッチして、人々がのどかに暮らしていたことを、かろうじて21世紀の今に伝える貴重な映像。
セフレなんて発想としてすらもなかったこの当時、男女はセックスの前にきちんとしたおつきあいをしていた。
よい出会いに巡り会えたとしても、結婚やセックスに至るまでには容易なことではなかった。
仲介役となる人や、まさに「縁」がものを言う時代でした。
数々の出会いのドラマを描いた巨匠も、生涯独身であったとは皮肉です。
彼にも意中の人はいたらしいのですが、恥ずかしがり屋で機会を逃していたとも伝えられる。
小津映画はモチーフ的に様々な解釈が可能ですが、結局、好きな人と結婚するのが一番ということのような気がします。
戦前までは、好きな人と結婚できないことの方が多かった。
今の時代、好きな人と自由に結婚できる環境なはずなのに、離婚する人も多いのがまた皮肉です。
無縁社会や、高齢者の孤独死など、現代社会が抱える問題解決へのヒントが、小津の映画から、かつてのこの時代から見えてきそう....
どうでもいいか、そんなコト *戦後民主主義と高度経済成長の夜明け前、嫁に行きそうにない娘の周囲がやきもきするという、実にど~ってことのないお話です(>_<)
当時は「奇譚クラブ」とも重なる時代だが、結婚してから奥さんに女王様になってもらっていたM男もいたようで、SM的にもまったりとした時が流れていたことが偲ばれます。
たみ:実はね。紀子さんおこらないでね。謙吉にも内緒にしといてよ
紀子:なアに?
たみ:いいえね。へへへ、ムシのいいお話なんだだけど、あんたのような方に、
謙吉の女王様になって頂けたら、どんなにいいだろうなんて、そんなこと考えたりしてね。 畳の上で行われた「昭和」の顔面騎乗

「麦秋」のメインテーマは監督である小津に言わせると輪廻ということらしい。
自分では「若い」と思っていた僕が、「今の若い人たち」を意識するようになってしまったのも、原始時代から続く輪廻のDNAがさせているのでしょうか...
レギュラー・コメンテイターのネホリ氏にもご提案頂いたのですが、古き良き時代の価値観を再認識させてくれるようなSM的作品を製作してみたいです。
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たみ : へ?
紀子 : 私で良かったら。
(中略)
たみ : 紀子さん! パン食べない?あんパン。あ、ついでに鞭も振ってみる?
私もときどき無性に小津映画が観たくなることがあります。