SMは風俗?という話題に関連して
「女王様は風俗嬢か?」という議論をしばしば耳にする。
お店としての営業区分は風俗にしても、ソープのように本番行為はないわけで「風俗嬢」と呼ぶには酷というか違うのではないかという気が(僕は)しています。
最近の若い人の中には、女王様は脱がないしタッチもないから、風俗とは違うと認識している女の子もいる。
とはいえ、実態が不透明で特殊な業務形態から、心ない差別や偏見も根強く、世間的には冷たい逆風にさらされている。
特に女王様稼業はその立場上、やむを得ない上から目線や、必要以上に高飛車な口調の印象があり、「イメージ戦略」としてあえてそうしているだけなのに、ナマイキに見られてしまいがちで損をしているように思う。

性格的にはおしとやかで謙虚な女王様を何人も僕はこれまでに見てきました。
また、ソープ嬢以上にエロい内容のサービスを毅然とこなす女王様もいらっしゃいます。
どの業界や職種にも言えますが、けしてきれいごとばかりではないのも事実。
何らかの事情でこの種の仕事に就く人の心は病んでいるなどという声もたまに聞きますが、ごく普通のOLさんにだってそういう人はいるし、心の闇というのは職業や学歴に関係ありません。
同様のことがM男性にも言える。
ある程度は趣味や性癖とかぶっている部分もあり、ビジネスライクに徹しきれない。
セックスならまだ割り切れる気の持ちようは、SMの場合、特に男性マゾヒズムはものすごくデリケートです。

セッション中に、女王様から次のように言われる時がある。
「オマエみたいな変態マゾは、まともな女性が相手にしてくれないわよねぇ~」 この台詞には萌えるものの、では女王様はまともな女性ではないとでもいうのだろうか?
彼女にこう言わせてしまう深層心理には、今やっている仕事がまともな女性のすることではないという劣等感のあらわれなのかもしれないと思うと、少し哀しくなる。
こちらとしては逆に、滑稽な変態行為につきあわせてしまって申し訳ないという気持ちでいるのに。
安くはないお金を払ってまでして頂いているこれは、普通の女性には依頼しにくい内容ではあるのかもしれない。
だからといって、プロの女王様をまともな女性とみなしていないわけではないのです。
むしろ、平均以上にまともであるからこそ、恥を忍んでお願い出来る素晴らしい能力を発揮されている。
そういうプロ根性の座った彼女たちを心から尊敬するし、僕のような変態の救世主だと感謝しています。
赤線時代の昔ならいざしらず、今はきちんとした職業的倫理観を持ってこの世界に入ってくる女性も多い。
娼婦やパンパン(終戦直後、在留米兵を相手にしていた売春婦の蔑称)を見るような因習的偏見は消滅すべきでしょう。

ソープやヘルスなども客層が異なるだけで、基本的な仕事の本質は変らない。
仮に、脱ぐ脱がないとか、本番行為のあるなしで線引きがなされるとしても、
いわゆる「風俗嬢」と呼ばれる彼女たちの仕事は
究極の接客業務 といえます。
女王様は、心の不自由なM男のための
介護士さんのような存在 であり、
ある意味で
SMクラブは社会福祉事業 なのだと思う。
多くのM男性(女装子も)がこのように感じているはずです。
M男がセッション中に女王様を見下すことはあり得ないが、スイッチが切れると蔑むような視線を投げかけるようなことがもしあるとすれば、それはMとしてというよりも、人として許されません。
風俗とも水商売とも呼ばれる安定しない業種かもしれませんが、社会的に意義のあるまっとうなお仕事であることを全ての皆さんに理解して頂きたいです。
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