描かれる女性たち

ピカソ「泣く女」
　ゴッホやピカソの作品がそうであるように、その絵がひと目で誰の作品なのかわかるというのは画家にとって大きな強みである。


　春川ナミオもまた、その特質を備えた、偉大なるアーティストだ。

　才能としては、近代絵画の巨匠レベルといってもさしつかえない。



　特に描かれる女性の個性もまた、その画家を鋭く印象づける。

　　　　　


　 竹久夢二や蕗谷紅児の作品などにもそういった傾向が認められる。





　夢二などの場合、ある特定のモデルの存在を意識せざるを得ないのだが、春川は不特定多数の、様々なタイプの女性を器用に描き分けながら、抽象化と様式化のプロセスを経て、その女性独自の持ち味をそぎ落とし、普遍化を試みていた。


　　　　



　その結果、あらゆるタイプのマゾヒストを魅了する女性美が表現され、このような女性にならお尻の下に平伏したくなるという願望や妄想をかきたてることになるのである。




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