
絵画というのは言わば「のぞき見」の歴史であり、画家はのぞき見の代理人として、現代の写真週刊誌のようなメディアがなかった時代から、美女のヌードから戦場の残酷シーンに至るまで、一般庶民が普通では見ることのできないイメージを描いて見せていたわけです。
しかし、バカ正直に人々のエログロな関心にだけ応えていては、絵画の社会的・道徳的な価値が維持できなくなるので、それなりに「説明責任」が課せられる。その口実に利用されたのが西洋ではキリスト教、つまり聖書でした。
聖書の内容といえば、言わずと知れた近親相姦から大虐殺など、人々のエログロな欲望を満たす場面がてんこ盛り。
エデンの園でアダムを誘惑したイブや、入浴姿をのぞき見されたスザンヌなど、どんなに淫らなシチュエーションであろうと、聖書の一場面としてビジュアルな布教の一環として描きましたと言えば、教皇も世間も文句は言えない。

画家は聖書を筆頭に神話や歴史的場面を口実に、美女の裸や淫らな情景を描いて、人々の卑猥な期待に応えるメディアの制作に勤しんでいたとも言えるのです。
現代ではそのような口実は必要なくなり、無節操にインモラルに、様々なエロスが自由に描かれるようになりましたが、画家の基本的な役割や創作のエネルギーの源は変っていません。
春川ナミオが描く貴婦人による男性被虐図の世界には、ノーマルな常識や道徳という規制から開放された真に自由な芸術的価値があると、僕は思います。

油彩であろうと素描であろうと、僕たちが絵に強く惹かれるのは、人の個性というものの壮観への感激があるからでしょう。
人物画でも静物画でも、そこに描かれるのは人の世の実在のありようとして、個性がにじみ出ていると感じられます。
絵の中で個性をどのように表現するかで画家の真価が問われるのですが、そのやり方に「正解」があるわけではありません。
だからこそ、絵画を見るという行為は、自分たちの中の個性を賛美する祝祭ともなるのです。
素晴らしい絵を見る時、僕らは「それぞれの自分でいいのだ」と背中を押される思いがする。ここに、絵というものに親しむ深い喜びがあります。

絵は、僕たちの個性の反映であり、胸に抱いた夢の顕われです。
心から好きな絵を飽かずに眺めているということは、自分の理想の姿を見ているということ。
このようなかたちで個性が活写され、世界の見方が伝えられ、文化として育まれる恩恵を享受できる素晴らしさを、春川ナミオの絵は教えてくれているのです。
さあ、顔面騎乗を巡る刺激的な旅を始めよう!
僕たちは世界をもっと深く見つめることができるはずです。
違った個性を愛することが出来るのです。
みんなちがって、みんないい。 マゾヒズムの恵みの一番奥深くを見つめていたい。
春川ナミオ原画展 in バロック!
◇ と き 2012年 6月4日(月)〜7月14日(土)19:00~24:00
◇ ところ 六本木 フェティッシュバー
mode et Baroque◆フェティッシュバー通常営業中の展示
開催期間中の日曜日、6月24日、7月8日の13:00~17:00でギャラリーとして無料開放

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始めたばかりで色々調べていてここを見付けたんですが、何を読んでも面白いし、勉強になったりする事も多いのでちょくちょく読ませて頂いてます。
これからもブログ頑張ってくださいね。